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AIの利用領域は「経営分析」が最多の回答――デロイトトーマツがCFOの意識調査

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 デロイト トーマツ グループは、CFOの意識調査を「Deloitte CFO Signals」として4半期毎に実施している。今回の調査は7月に実施、質問項目は継続的に行っている経済環境に関する意識調査と、ホットトピックとして過去2回の調査と同様にデジタルテクノロジーに関するものだった。調査では、上場日本企業を中心とした46社のCFOから回答を得た。

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 調査は、経済環境分野とデジタルテクノロジー分野の質問に分けて行われたが、ここではデジタルテクノロジー分野の結果を中心に紹介する。

 ■経済環境

  • 3か月前と比較した各社の景況感は、「概して変わっていない」が78%と、安定化している。
  • 今後1年間の各社の業績展望は、過去2四半期続いた増収増益見通しトレンドに一服感がある。それでも2016年秋以前の水準を上回っている。
  • 財政的・経済的な不確実性は低下しているが、不確実性が高いとの回答は依然5割を超えている。
  • 日本経済の注目点は、働き方改革(48%)、日銀出口政策(46%)、安倍政権不安定化(39%)など。
  • 海外諸国経済の注目点は、朝鮮半島情勢緊迫化がトップになった(54%)。

 ■デジタルテクノロジー

 ここで注目しているデジタル技術の発展とは、クラウドコンピューティングやインメモリーデータベースなど利用環境そのものの発達、コグニティブおよびAIといった認知、学習技術の発展、さらにRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)による自動化技術、IoTやビッグデータ活用による分析や予測の発展などさまざまな技術の発展を指す。

 ・クラウドコンピューティングの用途

 グラフは、クラウドコンピューティングの将来的な利用可能範囲についての回答結果。クラウドコンピューティングを対象とする機能は、「a. 経費精算などエンドユーザーが利用する機能向け」という回答が48%と群を抜いて多かった。

 一方、対極とも言える「b. すべての会計関連システムへの適応」を挙げる回答が続いた。これに4番目に多かった「d. 本社/大規模子会社の会計システムでも適応したい」という回答を合わせると、経費精算など機能を限定した使い方をイメージするCFOの割合と、本社子会社を問わず広く会計システム全般に適用したいと考えるCFOの割合が拮抗するようにも見受けられる。クラウドコンピューティングに対する認識は現時点では企業のスタンスが二極化しているようだ。

 ・クラウドコンピューティングの懸念点

 グラフは、セキュリティやデータ損失といった安定度や、コストやパフォーマンスなど使い勝手に関する事項に対しての懸念割合を示している。実態としては、クラウドの方がセキュリティレベルは高いという側面もあり、多分にCFOの皆様が持つ感覚としての“不安”が表面化していることが見受けられる。重要なことは、感覚論に陥らずに、自社システムのセキュリティを見直し、きちんと比較することではないだろうか。

 また、「クラウド=安価」という意識があるのか、コストの高騰への懸念が低いことは注目に値する。イニシャルコストのみならず、ランニングコストや撤退コストなども含めて比較することで、本当の意味でのコストパフォーマンスを測ることができるだろう。

 ・AI/コグニティブを利用したい領域

 すでに、一部の企業が経営分析にAIを活用すると発表したことも影響してか、「a. 経営分析」への回答が最も多かった。経営分析そのものに時間と労力がかかりすぎているとの課題認識が根底にあること、また、人間の先入観を排除した客観的かつ多角的な分析が求められていること、という2点が背景にあると推測できる。ただし、重要なのは分析結果に対する価値判断であることも忘れてはいけない。

 その後、「b. 内部監査」、「c. 経費管理」への回答が続くが、双方ともに大量のデータを人間に代わって監視、処理する能力の向上が期待されていると考えられる。

 ・AI/コグニティブの懸念点

 AI/コグニティブによる業務のブラックボックス化を多くの回答者が懸念している。単純な自動化処理と、AI/コグニティブによる支援を切り分け、どのような業務をAI/コグニティブで支援するかを明確にする必要がある。さらに、回答を細かくみると、複数回答で「a. 業務のブラックボックス化」を選んだCFOは、同時に「c. 柔軟性の欠如」または「d. AIの誤判断」を選んでいる傾向が多くみられ、“中身が分からなくなり、判断が正しいかどうか判定ができない”という不安が先行しているようにも見受けられる。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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