博報堂発社内ベンチャーCEOの宮井さんが語る、「メンターの存在」と「リサーチの未来」

株式会社SEEDATA CEO 宮井弘之氏 インタビュー(後編)

 株式会社SEEDATA CEOの宮井弘之氏。氏は現在、先進的な消費者群(TRIBE)に関する衣食・健康等、さまざまな切り口から調査した消費者データベースを構築、オンラインサービスとして提供するトライブリサーチ事業とそれらのデータを活かした共創コミュニティ事業を展開している。SEEDATAは、博報堂DYグループのベンチャープログラム、「AD+VENTURE」選出の社内ベンチャーだ。前回は、宮井氏の事業立ち上げに至るまでの経緯、そして、事業化における難局や課題をいかに乗り越えてきたのかを聞いた。後編である今回は、メンターの存在の重要性、宮井さんが考えるマーケティングリサーチのこれからに関してお聞きした。インタビュアーはBiz/zineでおなじみのbiotope佐宗邦威氏。

[公開日]

[語り手] 宮井 弘之 [聞] 佐宗 邦威 [取材・構成] 中岡 晃也 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] デザイン思考 マーケティング カスタマージャーニー デザインリサーチ ディシジョンジャーニー

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宮井さんが実践する「イノベーター的なプラニング」

佐宗(biotope 代表取締役社長 / イノベーション・プロデューサー):
 「既存のビジネスモデル(お金のもらい方)を壊す」というお話がありましたが、イノベーター的な思考パターンかと思います。宮井さんのそのような思考パターンは昔からでしょうか?

宮井(SEEDATA CEO):
 これは前回もお話した、臨床心理学の吉本武史先生についてからですね。それまでは、一つひとつのロジックを積み上げる「論理思考」を軸に思考するパターンがほとんどでした。先生についてからは、“右脳的な部分は眠っている”という前提に立つこと、つまり、直観として湧き上がる声を聞くことが重要だと考えています。この突如として浮かんでくる「声」に耳を傾け、「右脳的な部分を無視しない」というスタンスを取るようになりましたね。

佐宗:
 そこから何か変わったことはありますか?

宮井:
 プランニングの精度が格段に上がりました。まずはロジックを積み上げようとしないで、いろんな方から情報をインプットしてもらう。そして、そのあとは「出待ち」する。イメージが湧き上がるのを待つと言うとわかりやすいでしょうか。急に出てくるものだと思っているので、焦ることなく待っています。今のような思考パターンになってから多くの「出待ち」を経験しているので、インプットの量と質から、成果として出てくるアイデアの量や質が想定できるようになってきました。プレゼンの1日、2日前にイメージが湧き上がってきたところで、資料に落としこむだけというのが現在です。自分で言うのもなんですが、イメージが急に湧いてきたケースほど資料の精度は高い。「脳の力」をフル活用することは、非常に効果的だなと思うようになりました。

佐宗:
 宮井さんがインプットで工夫されていること、参考にしていることはありますか?

宮井:
 大学三年の時にマネックスの松本大さんの対談記事を読んで、その内容が非常に心に残っているので紹介します。多くの学びのある内容だったのですが、一番意外で勉強になったのは、「誰でも見るようなスポーツ新聞や大衆紙を読んでいます」と仰っていたことでした。僕は「なるほど!」と思いました。「多くの人の関心事を常に意識する」ということは、マーケティングに関わる以上、一番大事な要素です。

 また、ある有名なクリエイターの話も参考になりました。一番優秀なプランナーとは、「自分がその商品やサービスの消費者だったらどのように感じるかを代弁できる人」だと仰っていて、「中身の良し悪しではなくて、いかに代弁できているか」が、本当の意味での「プランニングの核心」なんだと。私も「代弁者たる感覚」を常に忘れない、ということは軸に置いています。その話を聞いた後は、朝の情報番組、スポーツ新聞、人気のバラエティ番組など積極的に観るようにしています。

宮井 弘之株式会社SEEDATA CEO 宮井 弘之 氏

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