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熱狂する営業組織の創り方

組織が熱狂するための6つの条件:後編~「明確な結果」「不確実性」「分かち合い」

熱狂する営業組織の創り方:第3回

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 前回は、熱狂する営業組織の全体像を紐解く意味で“組織が熱狂するための6つの条件”の内、1.~3.の条件を紹介した。これら3つはどちらかというと、営業組織を構成するメンバー一人ひとりの在り方について言及したものだったが、今回紹介する4.~6.の条件は「どのような環境であれば熱狂状態により近づくのか?」という内容になっている。前編と併せて今回の後編をお読み頂くことで、熱狂する営業組織における個々人の在り方だけでなく、その関係性及び創るべき環境が明らかになることと思う。

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行動分析学のABCモデル~曖昧さを排除した結果の存在の重要性

 改めて、以下が“組織が熱狂するための6つの条件”である。

  1. 自ら掲げた明確な目標があること
  2. その取組み自体への興味が尽きず、心から楽しいと感じること
  3. 近い距離感でその取組みに関わっていること
  4. 自分の行動に対する結果が明確であること
  5. リスクある環境に身に置いていること
  6. 分かち合う仲間がいること

4.自分の行動に対して結果が明確であること

 営業活動に提案はつきものだが、その結果についてどのように考えているだろうか。その結果に「受注」「失注」「保留(結論延期、再検討等)」がある場合、私が一番避けたいのは「保留」だ。特に熱狂する営業組織創りにおいては、「失注」よりも「保留」を問題視したい。以下にその理由を説明したい。

 出来れば失注も避けたいが、曖昧な結果よりは良い。例えば、失注となれば“何が足りなかったのか”“どこが至らなかったのか”が明確になり、その原因は次の営業活動に活かせる。またその悔しさ自体が次の糧になることもある。しかしながら、結果自体が不明瞭だと自分に何も返ってこないため、次の行動への誘因がほとんど生じない。

 その点に関しては、行動分析学のABC分析(ABCモデル)が参考になる。先行条件、行動、結果の関連性を分析するもので、Antecedent-Behavior-Consequenceの頭文字を取っている。簡単にいうならば、「A(先行条件)によって起こしたB(行動)が、よいC(結果)を生めば、B(行動)は繰り返される(強化される)」というものだ。

行動分析学のABC分析(ABCモデル)

 例えば、「A(先行条件):頭が痛い」⇒「B(行動):頭痛薬を飲む」⇒「C(結果):痛みが解消される」であるなら、次に頭が痛い時にも頭痛薬を飲むはずで、逆に効果が無ければ、次回は飲まない(もしくは違う薬を飲むなどの別の行動を取る)はずだ。いずれにせよ、結果が次の先行条件になり、その結果が望ましい結果であれば、人はまたその行動を続けようとする。

 これはあくまで一側面ではあるが、「結果の存在そのもの」が、人が行動を加速していくか否かに影響していることはご理解頂けるのではないだろうか。もちろん、望ましい結果を得つづけることで、熱狂状態にまで行動を加速できれば良いが、それはなかなか難しい。しかし、私は「結果の良し悪し」は二の次ではないかと思っている。仮に望ましくない結果であったとしても、次回その行動を回避する動きに繋がるかもしれないし、試行錯誤するプロセスもまた熱量を高める一因になるはずだ。しかし、そもそも「何らかの結果」が生じないことには何も始まらない。何より私は結果があるからこそ感情が動くのだと考えている。感情の動きで考えるなら、良い結果であれ悪い結果であれ、その影響力に大差はないし、熱狂する営業組織にとって感情の動きはとても大切な要素なのだ。

 また営業組織において「結果」というと「案件の受注/失注」「目標の達成/未達成」のように可視化できる内容を想起すると思うが、決してそれだけではない。「相手の反応(リアクション)」も行動に対する結果であると言える。先の内容に当てはめるならば、あるメンバーの働きかけに対して、相手(チームメンバーやお客様、パートナー等)の反応が、ポジティブであれネガティブあれ、無反応に比べると断然良いということだ。この点を突き詰めて考えていくと、あるメンバーの行動に対するチームとしてのリアクションを効果的に活用することができれば、熱狂する営業組織に近づいていくことが分かる。この点に関しては組織創りの具体的な方法論になってくるため、次回以降でその詳細をお伝えする。

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この記事の著者

佐藤 利博(サトウ トシヒロ)

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