2026年3月期有価証券報告書より、連結ベースでの「経営戦略と関連付けた人材戦略」の開示がいよいよ本格的に義務化されました。これからの人的資本経営は、単なる数値の「報告」から、経営戦略の変化に迅速かつ柔軟に対応する「動的な人材ポートフォリオの構築と運用」という実践のフェーズ──すなわち「第2幕」へと突入しています。
さらに、AIエージェントのチームメイト化や急激な市場環境の変化に直面する中、経営層、経営企画、人事部門、そして現場の事業責任者は、それぞれの立場でどのように「経営と人材の連動」を担うべきなのでしょうか。
本特集では、2026年12月1日開催の「Business HR Forum 2026」と連動し、これからの時代を生き抜く組織とリーダーのあり方を紐解きます。 独立研究者の山口周氏が語るAI時代のリーダーシップや「HR界のマネーボール化」をはじめ、戦略を組織能力へと翻訳する「HRBP」の真髄、人材の過不足を解消する「スキルベース組織」への転換、そして先進企業(味の素、イトーキなど)による人的資本経営の実践ストーリーまで、不確実な時代に“攻めの人材シフト”を果たすための知見と最前線の事例をお届けします。
Biz/Zine記事一覧
イトーキが挑む、人的資本経営時代のオフィス投資の最適解──AI活用による可視化と可変型オフィスとは
2026年6月11日、イトーキは本社オフィス「ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO(IDH東京)」の大規模リニューアルに伴うメディア先行内覧会を開催した。労働人口の減少や価値観の多様化を背景に「人的資本経営」への注目が集まる今、オフィス環境への投資は経営の根幹を揺るがす重要テーマとなっている。本内覧会では、同社執行役員中央研究所所長の清水俊也氏がモデレーターを務め、常務執行役員の八木佳子氏(ソリューション事業開発本部 本部長)、執行役員の香山幸子氏(ワークスタイルデザイン本部 本部長)が登壇。人員増加により「1人あたりのオフィス面積が約4割減少した」という一見ネガティブな状況下で、なぜ、従業員の快適性や生産性実感が向上し続けているのか、その舞台裏が明かされた。データ分析と先進テクノロジー、空間デザインが三位一体となった、次世代のオフィス構築アプローチをレポートする。
日本版FP&A×HRBPの真髄──戦略を「組織能力」へと翻訳し、事業を勝利へ導くパートナーへの進化
「人的資本経営」という言葉が定着しつつある今、人事部門には従来の労務管理を超えた、経営戦略の実行支援が強く求められている。しかし、多くの日本企業において人事は依然として現場での「オペレーション」に留まり、事業の成長に直接貢献する「ビジネスパートナー(HRBP)」へと脱皮できずにいるのが実情だ。一方で、財務の視点から経営の意思決定を支える「FP&A(Financial Planning & Analysis)」は、参謀としての地位を一定程度確立しつつある。では、真のHRBPはいかにして戦略と人を結びつけ、事業リーダーから信頼される「壁打ち相手」になれるのか。日本におけるHRBP育成の第一人者である土井哲氏と、FP&Aアドバイザーの池側千絵氏を迎え、Biz/Zine編集部の栗原茂が、日本版HRBPの進むべき道とその具体的な処方箋について深掘りした。
琴坂教授と探る、AI時代の経営学の4つの新潮流──ミドルマネジャーの変容と日本企業の逆転戦略とは
AIの進化が指数関数的に加速し、従来の経営のあり方が根底から揺さぶられている2026年。生成AIは人間の認知限界を突破し、ロボティクスは物理的な組織運営の前提を書き換えつつある。このような激動の時代において、経営学の伝統的な知見はもはや無効なのか。それとも、新たな進化を遂げようとしているのか。今回、新著『経営戦略の進化〈理論編〉』(東洋経済新報社)を上梓した慶應義塾大学の琴坂将広教授にインタビューを行った。琴坂氏は、有史以前から続く経営戦略の系譜を丹念にひもときながら、現代の経営者が向き合うべき「4つの新潮流」を提示する。話題は、既存の「ポーター対バーニー」の対立を超え、AIには到達できないプライベートデータの価値、そして日本企業がかつて持っていた強みの再定義へと展開した。不確実性の「乱気流」を乗りこなすための新たな戦略的視座について、Biz/Zine編集部の栗原茂が深く切り込む。
人材不足と余剰を同時に解決する「スキルベース組織」──経営企画・人事・財務の“三位一体改革”とは
生成AIの劇的な進化や労働市場の流動化に伴い、日本企業の人事戦略は今、かつてない転換点を迎えている。多くの企業で「ジョブ型雇用」の導入が進む一方で、その限界や日本独自の雇用慣行との摩擦といった課題も見え始めてきた。そこで今、世界的に注目されているのが、個人の「スキル」と「経験」をデータ化・可視化し、組織の機動性を高める「スキルベース組織」という新たな概念だ。AIが定型業務のみならず、計画や実行の領域まで侵食し始める中、人間が担うべき真の役割とは何か。そして、経営企画・人事・財務といったコーポレート機能はどのように進化すべきなのか。今回は、『スキルベース組織の教科書』の監修者であり、EY Asia East / Japanでピープル・コンサルティングをリードする鵜澤慎一郎氏にインタビューを実施。生成AI時代の組織論、HRBPやFP&Aの役割、そして三位一体で進めるべき組織変革の要諦について、Biz/Zine コンテンツ・プロデューサーの栗原茂が迫った。
なぜ味の素は有報で課題を赤裸々に開示したのか──味の素の人事部長と語る、人的資本経営の実践とパーパス
本連載では、日本における上場企業のほぼ全ての人的資本開示に目を通し分析したUnipos株式会社田中弦CEOが、有識者や実践者との対談を通じて「人的資本経営」の本質を追求していく。今回のゲストは味の素株式会社 執行理事 人事部長の森永浩康氏。田中氏は、同社の人的資本開示内容が昨年までとは大きく変わったと指摘する。その理由を探る中で、同社のこの10年の改革の歩み、人的資本に関する現状と、これからの“伸びしろ”が見えてきた。
慶應琴坂准教授と語る、経営学と人的資本──損得勘定でも多様性が求められる理由、束ねるリーダーの役割
本連載では、2023年に日本における上場企業のほぼ全ての人的資本開示に目を通し分析したUnipos株式会社田中弦CEOが、有識者や実践者との対談を通じて「人的資本経営」の本質を追求していく。今回のゲストは慶應義塾大学総合政策学部の琴坂将広准教授。日本的経営と人的資本経営の関係や、従業員の個性を生かしながらも組織の向かう方向へと束ねていくためのマネジメントのノウハウが、国際経営研究の知見、歴史的な視点も交えて語られた。
HRzine記事一覧
NTTドコモが描く生成AI×人的資本経営 スキルベースマネジメントで最大化する社員の可能性
本連載では、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会「人的資本経営の導入と実践ワーキンググループ」が開催するイベント「人的資本経営 Executive Deep Dive」の模様をお届けします。2025年8月27日には2025年度第5回イベントとして、株式会社NTTドコモ 総務人事部 人事戦略担当部⾧ 郡康之氏が登壇。「生成AI×人的資本経営-社員の可能性を最大化するスキルベース人材マネジメント」と題してライブトークを行いました。話題は、NTTドコモグループの取り組むスキルベースの人的資本経営から始まり、スキルデータ活用の未来形まで広がりました。なお、モデレーターは筆者(松岡佐知)が務めています。
富士通の経営戦略を支える“データドリブンHR”のメカニズム──生成AI活用で社外活躍の場も広げる
2019年に「IT企業からDX企業へ」と舵を切った富士通。現在ではサービスソリューションを主力事業として展開し、全社DXにも注力している。また、データドリブン経営を加速度的に推進し、人的資本経営を実践するために、データをもとにした様々な人事施策に取り組んでいる。その取り組みの全貌を同社 CHRO室長 森川学氏が、5月27日に開催されたEnterpriseZineとHRzineの合同イベント「HR×Data Forum」で解説した。
経営の意思を“翻訳”して組織を動かす 楽天とコカ・コーラ ボトラーズジャパンが共鳴した組織変革の要諦
多くの企業が直面する「経営の方針が現場に伝わらない」「現場が自律的に動かない」という課題。楽天グループとコカ・コーラ ボトラーズジャパンという全く異なるカルチャーを持つ2社は、どのようなアプローチで組織変革を推進しているのだろうか。2月に開催されたイベント「ミキワメユニバーシティ プレミアムサミット in Kyoto, 2026」では、楽天グループ株式会社の小林正忠氏と、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社の東由紀氏が登壇。組織変革におけるトップダウンのコミットメントと現場の自律性を引き出す仕組みについて、熱い議論が展開された。
マネーフォワード取締役が目指す組織像 それを支えるHRBPに求める資質・経験と期待する働きとは
人的資本経営の第一歩は、経営戦略にひも付いた人事戦略の策定と実行だといわれる。これを事業責任者の右腕として支えるのが「HRBP」だ。とくに事業拡大期にあり、人事と現場との距離が急速に広がっている企業においては、人材や組織の問題が足かせとならないためにもその役割は重要である。本稿では、やはり事業が拡大の一途をたどっている株式会社マネーフォワードの取締役 グループ執行役員であるとともに、同社バーチャルカンパニーの1つでCOOを務める竹田正信氏に、同氏が目指す組織像や、同社のHRBPが果たしている役割とその人材像、期待する働きなどを聞いた。
人事企画の“ゴール”を描く「人材ポートフォリオ」 その必要性やつくり方、検討事項を詳しく解説!
過去3回にわたって、100人の壁を突破する際に企業が直面する課題や、企業全体で求められる変革、人事が身に付けるべき能力を紹介してきた本連載。4回目となる今回は、戦略的な人材獲得・育成の指針となる「人材ポートフォリオ」について解説します。社内の機能分化が進み、獲得したい人材が多様となった組織において、採用・育成手法を考える前に作成しておきたい人材ポートフォリオとは、どのようなものなのでしょうか。
人事と財務がつながる戦略的要員計画(SWP)とは? グローバル先進企業が持つ世界標準の考え方
企業が持続的に成長し続けるためには、必要な人材が質・量ともに過不足なく充足し続ける状態をつくることが重要です。グローバル先進企業では戦略的要員計画(SWP)という考え方を中心に、現在および中長期に必要な人材を獲得・育成し続ける仕組みをつくっています。今回は世界標準のSWPの考え方について、日本企業でよく見られる要員計画や人材ポートフォリオ施策の取り組みと比較しながら説明します。












