電通は、全国20~59歳の600人と人事部門300人の900人を対象に、第2回「企業の変革に関する従業員意識調査」を実施し、その結果を発表した。
同調査では、2021年12月に実施した第1回調査に続き、自社の変化に対する従業員の意識について確認するとともに、新たに人的資本経営に関する設問を加え、その課題感を明らかにした。その結果、企業変革に対する従業員の熱量が低下していることなどが明らかになったという。
調査概要
- 対象エリア:全国
- 対象者条件:20~59歳(大企業勤務、部長職以下)
- サンプル数:600(性別・10歳ごとに均等回収)+人事部門300(人事部門経験年数1年以上が対象)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査期間:2023年11月21~26日
自社の目指す変化についての情報発信がされている(「変化に対して、会社・経営層から情報発信も動きもない」以外の回答選択肢の合計)と考える従業員は、2021年12月実施の前回調査(91.2%)から22.2ポイント減少し69.0%だった。
また、自社の変化に対して、現在すでに行動をしている(「現在すでに行動している」「現在すでに行動しており、会社の周囲の人にも働きかけている」の合計)従業員は、前回調査(30.7%)から9.2ポイント減少し、約2割(21.5%)となった。
自社の変化に対して、行動していない/うまくいかない/ついていけない(「会社の変化の動きは理解するが、自分自身はまだ行動に移せていない」「現状の会社の変化そのものが、うまくいかないのではないかと思っている」「会社の変革が行われているが、正直ついていけないと思っている」の合計)理由は、前回調査(28.2%)に続き、「会社・経営層から打ち出された変革案が社内でほとんど理解・浸透されていない」(26.6%)が最も多い。また、「会社・経営層がきちんと変化の道筋を示していない」(16.8%)は、前回調査(26.9%)から10.1ポイント減少した。
自社の変化に対する姿勢や考え・行動、基本的な就業意識などの観点から、クラスター分析を実施し、従業員を「変革推進層」「変革フォロワー層」「現業と変化の狭間でもがく層」「変革他人事層」「結局のところ現業肯定層」「就業消極層」の6タイプに分類。変化への関心が高い「変革推進層」「変革フォロワー層」「現業と変化の狭間でもがく層」の3タイプは、前回調査(合計61.7%)から25.2ポイント減少し36.5%に。特に、自ら動き企業の変革の担い手ともいえる「変革推進層」は、23.7%から12.0ポイント減少し11.7%となった。
自社が変化することに対して「特に不安はない」従業員は15.7%で、残りの84.3%は何らかの不安に関する回答を選択した。不安を感じている理由の上位は、前回調査と同じく「なんとなく漠然とした不安がある」(30.0%)、「目の前の業務とのバランスが取れなくなること」(21.7%)、「会社がどのようなものに変わろうとしているのかが見えていないこと」(21.0%)だった。
「人材育成」「人材採用」「評価制度」などの人的資本経営に関する領域について、自社が取り組んでいると考える従業員の割合は、全ての領域において人事部門が事業部門よりも10ポイント以上高かった。
人的資本経営に関する領域について、自社が取り組むことは重要だと考える(「とても重要度が高い」「重要度が高い」の合計)従業員の割合は、「人材育成」を除く領域において人事部門が事業部門よりも10ポイント以上高くなった。
自社における現在の人的資本経営に対する取り組みは事業の成果につながっていないと考える(「事業の成果にあまりつながっていないと思う(ややバラバラだと思う)」「事業の成果にはつながっていないと思う(バラバラだと思う)」の合計)従業員は、約5割(51.8%)だった。
人的資本経営の取り組みが事業の成果につながっていないと考える最も多い理由は、「分からない」(28.9%)、次いで「人事部門と事業部門での連携が取れていない」(28.5%)となった。部門別では、人事部門では「人事部門と事業部門での連携が取れていない」(38.1%)、事業部門では「分からない」(30.3%)が最も多かった。
自社の人的資本経営に関して、従業員が課題だと感じる領域は「人材配置」(54.2%)、「人材採用」(52.2%)、「人材育成」(51.5%)の順で多い。
人事部門と事業部門で最も差が大きい領域は、「HR Tech」(人事部門:49.4%、事業部門:25.2%)で24.2ポイントとなった。