博報堂の「SDGsプロジェクト」は、TBWA HAKUHODOのマーケティング戦略組織「65dB TOKYO」と共同で、「気候危機」に対する日本・イギリス・アメリカ3ヵ国の生活者の意識・行動について調査。定量・定性調査から得られた生活者の声を分析し、そこから見えてきた生活者インサイトと、気候危機に対して行動を促すためのヒントをまとめた「Climate Crisis Action Report」を公開した。
記録的猛暑が世界各地で報告された2023年7月、国連事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と強い危機感を示した。気候危機に対し強い警鐘を鳴らす「地球沸騰化」という言葉は、日本においても同年の新語・流行語大賞にノミネートされるほど衝撃を与えたという。
そのような中、実際に生活者は気候危機に対してどのような意識を持ち、どの程度行動に移しているのかを把握するため、日本・イギリス・アメリカにおいて定量・定性調査を実施した。同レポートでは、調査結果から見えてきた生活者のインサイトをまとめている。
また同調査を通じて、生活者の行動を促すためのヒントはコミュニケーション方法にあることがわかった。生活者が自然に気候危機に対して行動できるようにするためには、心地よさとサステナビリティの両立が大切であるとし、その状態を「Well-Sustainabeing」と名付けコミュニケーションコンセプトとして提示。事例とともに紹介しているという。
レポートサマリー
- X(旧Twitter)上での「気候危機」「気候変動」の話題量は、アメリカを中心に減少。イギリス・アメリカと比較すると、日本における「気候危機」に対する理解度は非常に低い
- 日本では、2018年をピークに気候危機に関する発話量が低下傾向にあり、情報量が増えたことによる慣れで、危機感が薄れていることがうかがえる
- 気候危機を意識して行動をしているか聞いたところ、「行動している」と回答した日本の生活者は8%程度にとどまっている。具体的なアクションの実施有無を聞くと、マイバックの持参やごみの分別など、日々の生活の中で様々な行動を取り入れていることが明らかになった
- 生活に紐づいた内容であるほど、生活者の行動につながっていることから、生活者が無理なく気候危機アクションに参画しやすくなるための新しいコミュニケーションコンセプトとして、「Well-Sustainabeing」(心地よさとサステナビリティの両立)を提唱
- 企業が生活者の共感を醸成しながら、実際に気候変動アクションに移してもらうための6つのコミュニケーションポイント:豊かさの演出、物語性の提供、感情移入の促進、悩みの軽減、時流に合わせた価値訴求、“当たり前”へ特別感の付与