本調査レポートは、PwCがMergermarketとともに、世界の幅広い業種・地域における経営幹部600名を対象に実施した、M&Aを通じた価値創造の実体験についての調査結果を、日本企業の参考となるように作成した日本語版。調査対象者はいずれも、過去3年以内に大規模な買収・売却を経験している。特長は「企業買収・売却において価値の最大化を実現できていないケースが多い」となり、以下の内容となる。(上図参照)
- 61%の買収を実施した企業が、直近のディール案件で価値が創造されたと考えている。しかしながら…
- 53%が当該ディール成立後の2年間で株主総利回りが業界平均を下回った。
- 57%の売却を実施した企業は、直近のディール成立後の2年間で株主総利回りが業界平均を下回った。
また 本調査から得られた、ディールの長期的価値創造における3つのポイントとして以下をあげる。
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戦略との一貫性 ディールは明確な戦略ビジョンに基づいて実行されるべきであり、事業の長期目標にかなうものであ るべきである。直近の買収ディールを通じて多大な価値創造を実現できたと回答した企業の 86% が、買収はそれ自体を目的として実行したのではなく、より幅広いポートフォリオ戦略の一部であった と回答した。
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包括的な価値創造計画における要素の明確化 チェックリストではなく、詳細な計画が必要である。ディール成立時点において、買収によってディー ルの価値を毀損した企業のうち、79%が統合計画を策定せず、70%がシナジー計画を策定せず、ま た 63%が IT その他テクノロジーに関する計画を策定していなかった。
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文化をディールの中核に据える ディールの価値に大きな影響を与える人材マネジメントに留意すべきである。直近の買収でディール の価値が大きく毀損したと回答した企業の 82%において、ディール後の重要な人材の離職率が 10%を上回っていた。
※資料は下記のPwC Japanのサイトからダウンロードすることができる。