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経営戦略としてのサプライチェーン変革

トリドールHD 梶野透氏に聞く、サプライチェーン変革による日本企業の利益率向上への道筋

ゲスト:トリドールホールディングス 梶野透氏

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 日本のサプライチェーンが抱える複雑な課題を掘り下げ、それらを乗り越えた先に広がる未開拓のビジネスチャンスと、その実現に向けた道筋を探る本連載。今回は、トリドールホールディングス 執行役員 兼 CSCO SCM本部長の梶野透氏に、日本企業におけるサプライチェーンの現状と、CLOやサプライチェーン人材に求められる資質について伺いました。聞き手は株式会社Shippio 事業推進室長 兼 マーケティング部長の真畑皓氏です。

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日本企業と外資系企業におけるサプライチェーンの“違い”

真畑皓氏(以下、真畑):トリドールホールディングスの事業内容、その中でもSCM本部、そして梶野さんの現在の役割についてお教えください。

梶野透氏(以下、梶野):私は、執行役員 兼 CSCO SCM本部長として、トリドールホールディングスのサプライチェーン全体を統括しています。現在、当社は世界約30ヵ国で21ブランド・約2,000店舗を展開しており、これらへの安定供給を担っています。トリドールホールディングスは、スローガンに「食の感動で、この星を満たせ。」を掲げ、世界中で唯一無二の日本発グローバルフードカンパニーを目指しています。

 当社が事業展開をするにあたり他社と異なる点は、最初から世界各地のお客様の食文化に適した形で店舗展開を進めていることだと考えています。中華系のお客様向けには、米線(ミーシェン)という中国雲南省発祥の麺を使ったスープヌードルチェーン「タムジャイサムゴー」を、ヨーロッパでは子会社のフルハムショアを通じてピザ店の「フランコマンカ」、ギリシャ料理店の「ザリアルグリーク」を展開し、日本のブランドを海外に出すのみでなく、事業会社として、グローバル市場で競争し続けている点が、大きな違いです。

 日本国内では、「丸亀製麺」を旗艦ブランドとして展開しながら、さらなる成長を目指して新たなブランドの育成にも注力しています。とんかつ、カレー、ラーメン、ハワイアンカフェなど、多様な飲食業態に挑戦し、将来的に第二、第三の丸亀製麺を生み出すことを視野に入れています。

真畑:梶野さんご自身は、これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

梶野:2007年にP&Gジャパンに新卒入社して以降、キャリアを通じてサプライチェーン・マネジメントの領域にずっと携わっています。P&Gジャパンを卒業後、2016年に日本マクドナルドに入社し、ロジスティクス部長、ストラテジックソーシング部長を務め、その後アマゾンジャパン、B-R サーティワン アイスクリームで買う、作る、運ぶ、計画するなどのサプライチェーンに関わる役割を担ってまいりました。

 また、学術的な活動にも携わっており、早稲田大学 創造理工学研究科で非常勤講師・招聘研究員を務めています。加えて、日本ロジスティクスシステム協会ではロジスティクスイノベーション特別推進委員としても活動しています。過去にはサプライチェーン領域において、スタートアップの支援にも携わっていました。

真畑:これまでは外資系企業でサプライチェーンに携わられてきたとのことですが、トリドールホールディングスが日本の事業会社で初めてのお仕事かと思います。広く日本企業を見たときに、サプライチェーンに対する考え方や取り組みなど、外資系企業との違いはどのような点にあるとお考えですか。

梶野:言葉を選ばずに申し上げると、多くの日本企業では、サプライチェーンに関する専門性を持つ人が、圧倒的に少ないと感じます。たとえば、私は機械工学科の出身ですが、3D CADを使って機械設計することや、旋盤を使って金属片を削ることなどは学術的な要素も含めて学んでまいりました。製造業だとこのように、大学などで学問として専門知識を身につけたうえで社会に出るエンジニアが多いと思います。

 一方で、サプライチェーンの領域では、購買や物流、生産管理などの業務を担う人材の多くが、専門的な教育を受けることなく、会社に入ってから実務を通じて知識を身につけています。この違いが、日本におけるサプライチェーン人材の専門性の差につながっていると感じます。

 また海外では、サプライチェーンについて専門的に学ぶ機会があります。アメリカのミシガン大学 、オーストリアのウィーン経済大学、オランダのエラスムス大学、さらにはMITもサプライチェーンについて学べるカリキュラムを用意しています。そこで知識を身につけ、リテラシーを備えたうえで、SCM領域を担当している方も多いです。学問的なバックグラウンドの違いが特に大きいと感じます。

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この記事の著者

加藤 智朗(カトウ トモロウ)

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