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アジリティとピボットで勝ち抜く モバイルベンチャーの世界、エニセンス熊谷さん

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創業特区の福岡市のベンチャーで、隆盛を極めるのがWebマーケティング系とモバイル系。 中でも、モバイルコンテンツとアプリケーションのサービスをおこなうエニセンスは、成長株として注目されている。代表取締役の熊谷昭彦氏は、スマホ前夜のガラケー時代からモバイルコンテンツプロバイダとして起業したベテラン。盛衰の激しいモバイル業界で何度かのピボットをおこない生き抜き、成長を遂げ世界に進出しようとする。その根底にあるビジョンをうかがった。

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ガラケー戦国時代を生き抜いて

株式会社エニセンス 代表取締役 熊谷 昭彦氏

—ガラケー時代からモバイルコンテンツ・プロバイダとして起業されて、モバイルの激変の波をくぐってこられました。今、スマホアプリでは海外にも進出されています。持続と成長を支えてきた経緯についてうかがえればと思います。

個人的には、大手電機メーカーで携帯のiモードの開発をしていた時代からつながっていますが、話すと長くなります(笑)。電機メーカーの時代に携帯の可能性をかなり感じて、福岡に戻って起業したのが2007年なんですが、その頃ってモバイルコンテンツベンチャーの絶頂期だったんですね。メーカー時代に、パートナー企業さんに開発を依頼していたんですが、日本国内の開発パートナーさんが、だんだんと中国やインドなど東南アジア系の 開発パートナーさんに代わっていくんですよ。コストが圧縮されていく現場を見ていく中で、次の市場に目を向けなければという危機感を感じたんです。このままデバイスが高機能化して、インフラも整っていくのであれば、その上のアプリケーションやコンテンツの世界の方が可能性があると思ったんですね。 ただその時には、Webやアプリの世界には人脈もコネもなかったので手探りで始めました。

—福岡で起業することへのこだわりはあったのですか?

インターネットさえあれば、どこでも仕事は出来るだろうし、「東京一極集中をなんとか打破したい」という思いはありました。東京で起業したほうがスピードも速いし、有利だと言われたのですが、「どこででもやっていく」「それぞれの個性を活かしていく」ということへのこだわりがありました。エニセンスという社名は、anyとsenseから来ているのですが、senseが人の個性や強み、役割で、それらの集合体として成長していこうという考え方なんです。

ベンチャーだからこそ理念と行動指針が必要

—起業してからこれまで、順風満帆に来たという感じでしょうか?

いえいえ、かなり紆余曲折があって、何度かのピボット(事業転換)をおこなっています。 最初は、エンターテイメントのコンテンツやゲームでうまくいっていました。モバイルの受託の引き合いは多くありましたが、自社サービスでやっていくという強い想いがあり、受託の割合は少なくしていました。ところが、2010年ぐらいからガラケーの勢いが無くなって、スマホの移行期にさしかかると、急激に売上が落ちていったんです。その時に、ほぼ全スタッフを受託事業にシフトさせました。1回目の事業ピボットは、その時期ですね。

—今のビジネスはどうなのでしょうか?

そして今は、また自社サービスにピボットしたんです(笑)。受託系は、グループ会社のフリーメソッドという会社でおこなっています。今のスマホの時代は、世界に出て行くチャンスだと思います。なぜなら、これまでドコモ、au、ソフトバンクなどキャリアが主流だったモバイルコンテンツの世界が、AppleとGoogleというグローバル企業のプラットフォームになって、そのプラットフォームを利用すれば、一気に世界に飛躍するチャンスがあると考えたからです。それで、100社ほどあった受注の運用の業務をすべてフリーメソッドという関係会社に事業譲渡したんです。

—エニセンスのモバイルアプリって、それぞれターゲットを絞ってファンを獲得していくものが多いですよね。アプリのビジネスモデルとしては、有料課金型や広告収入型やタイアップ型など様々ありますが、どのような戦略をとられていますか?

これまでヒットしているアプリだと、myAppシリーズについて言えば、20代から30代前半までをターゲットにしています。My日記、Myアルバム、Myメモ、Myミュージック、Myダイエットという風に女性が生活の中で使用するアプリ群を作っていて、まだAndroidだけなのですが、約20万人に使っていただいています。すべて無料の広告モデルが基本ですね。LINEやFacebookのように広いターゲットをいきなり狙うのではなくて、もっとターゲットを絞ってシンプルなサービスにし、使いやすさを強化する戦略です。なぜかというと、意外に1つか2つの機能しか使わないユーザーの方が多いと思うんです。そうであれば、単機能でシンプルとことん使いやすさ追求したアプリの方が継続率も高い。 ユーザーへのサービスブランドの認知度や評価も高くなるので、1日に数千ダウンロードがノンプロモーションでできるようになりました。

—ヒットさせるコツは何でしょうか?

コンセプトをぶらさずに、ターゲットにマッチしたものを考えぬくっていうことだと思います。そうするとユーザーの口コミやアプリストアの評価も高くなり、レビューもついてくる。ユーザーの生活をサポートしたり、コミュニケーションをより良くするためのサービスというコンセプトで、サービスを提供するというのが基本です。企画を出す段階では、ブレストの連続、そこから戦略を決めてスピード重視で、ユーザーの声を拾ってグロースさせていく。 アップデートさせていくサイクルをとにかく早くするということも大事だと考えています。

—海外戦略についてはいかがですか?

事業毎にカンパニー制をとっていて、海外のローカライズを現地採用でおこなってスモールチームを作っていこうと考えています。やっぱり、その国のカルチャーにあわせてサービスを整えていくというのが一番基本の戦略と考えています。僕たちのような生活密着型のサービスは、やはりその国そのターゲットごとにローカライズが必要で、そのために各国エリアに少人数精鋭チームを配置していこうと思うんです。まずは東南アジアを攻めようと考えています。例えば、タイは美容やコスメに対するニーズが高いので女性向けのサービスが展開しやすいと思いますし、台湾だと、親日で日本文化、特にオタク文化などのサービスは展開しやすいと思っています。

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