TOP写真:野本弘文氏(現社長、4/1付代表取締役会長)、高橋和夫氏(現取締役執行役員、4/1付代表取締役社長)
創業100年に向けて「3つの日本一」を目指す
東急電鉄の2016年から2018年までの経営計画のふり返りとしては、営業利益は754億、779億、830億と推移し、数値計画としてはすべて達成となった。2022年は創業100年を迎えることからも、2018年からの3年は次の100年に向けての基盤を作り上げていく期間と位置づけているという。
長期ビジョンとしては「3つの日本一、1つの東急」を掲げてきた。3つの日本一とは、日本一住みたい沿線(東急沿線)、日本一訪れたい街(渋谷)、日本一働きたい街(二子玉川)のこと。
事業環境として考えられるのは、まず人口動態の変化。2010年の国勢調査では東急沿線17市区の人口は、2020年をピークに減少するというものだったが、そのピーク予測は15年後ろ倒しになり、人口はむしろ増加しているという。「街づくりの成果ではあるが、少子高齢化、生産年齢の減少を考えると今後は沿線の住民の流動性を確保することが課題」と野本現社長は語る。
こうした事業環境から導いた重点施策として、「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の3つのサステナブルを掲げる。
2022年に売上2200億円を計画
経営指標としては、以下を掲げた。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|
東急EBITA | 1,750億円 | 1,845億円 | 2,064億円 | 2,200億円 |
営業利益 | 770億円 | 780億円 | 970億円 | 1,100億円 |
有利子負債/東急EBITA倍率 | 6.2倍 | 6.1倍 | 5.3倍 | 5倍台 |
ROE(参考) | 7.2% | 7.2% | 8.4% | 9%台 |
また、投資計画としては、全体で5,200億円を見込んでおり、成長投資に2600億円、既存事業投資に2600億円だという。成長投資とは「まだ確定しない計画を含む戦略分野」だという。
世界のSHIBUYAを作る
新社長の高橋氏は今後の重点施策について解説。中でもホームドアの設置の整備率を2019年に100%にすることや、新型車両導入、混雑度の見える化やオフピーク促進など、ハード・ソフト両面での安全性の追求を強調した。
また街づくりの面では、広域渋谷圏「Greater SHIBUYA」がある。グーグルが移転することで話題となった「渋谷ストリーム」、「渋谷代官山Rプロジェクト」、「渋谷スクランブルスクエア」などの大型プロジェクトを通じ、世界の「SHIBUYA」としてエリアのブランド化にも注力する。
また渋谷以外にも多摩田園都市、相鉄・東急直通線沿線、五反田・目黒・大井町などの「5つの重点エリア」にも力を入れる。
オープンイノベーションを強化
これまで実施してきた「東急アクセラレートプログラム」や「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」などのオープンイノベーションの取り組みについては、大手企業、自治体との連携強化、ラボの設立などでさらに強化するとともに、グループ内のイノベーション促進として、新事業創出、社内起業家育成制度にも力を入れるという。
最後に、社長を退き会長となる野本氏が挨拶。2011年就任以来の数多くの事業について、関係者に感謝の意を述べた後、「今後の3年間につなげることができた」と安堵の表情を見せた。