大反響を呼んだ「好きを応援するエポスカード」
丸橋:皆さんこんにちは。本セッションのモデレーターを務める丸橋と申します。本日は「“好き”からはじまるムーブメント」というテーマの下、丸井グループとヤッホーブルーイングの2社をお招きしました。企業のファン作りや個人と企業の共創について議論して参ります。

丸橋:それでは伊藤さんから、丸井グループの企業概要と“好き”を起点にした活動を紹介いただけますか?
伊藤:私が所属する丸井グループは、小売とフィンテックを中心に事業を展開しています。お客様との出会いを実店舗で築き、エポスカードを通じてLTVを最大化し、収益を生み出すビジネスモデルです。

伊藤:丸井グループでは「人の成長=企業の成長」を経営理念として掲げています。ミッションは『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会を共に創る』つまり“共創”です。
本セッションのテーマには、当社の考え方と通じるものを感じます。というのも、丸井グループでは目下「“好き”が駆動する経済」を実現するべく動いているんです。お客様の“好き”と経済を結ぶ、プラットフォームのような存在を目指して活動しています。
その一例が「好き」を応援するエポスカードです。アニメ・漫画・ゲームなど、約88ものコンテンツとコラボしたクレジットカードを発行し、約101万人(2024年9月末時点)のお客様に利用いただいています。この取り組みを通じて、お客様と社員の関係性に変化が見られました。これまでは買い手と売り手の関係でしたが、“好き”の対象が重なる者同士として、ともにビジネスを生み出すような動きが増えつつあるのです。
社員自身の“好き”をきっかけに始動した企画の例をご紹介します。ある社員が、自身の好きな人気キャラクターの企画をファン目線で考えた結果、キャラクターの世界観とマッチしたオリジナル券面が生まれました。その券面がSNSなどを中心に反響を呼んだため、社員とお客様の“好き”が経済を駆動した成功例と言えます。
このような成功例を増やすべく、最近は「好き」を応援するコンクールと称した社内コンテストを実施しています。社員からの募集を受け付け、そこで出たアイデアを実装に向けて開発しているフェーズです。
独自の指標“ぞっこん度”でファンの熱量を測る
丸橋:続いて佐藤さんからも、ヤッホーブルーイングの企業概要と“好き”を起点にした活動を紹介いただけますか?
佐藤:私が所属するヤッホーブルーイングは、1997年に長野県で創業したビールメーカーです。看板製品の「よなよなエール」は、今年で発売から28年目を迎えます。

佐藤:我々が大切にしているミッションは「ビールに味を。人生に幸せを。」です。これは「多様性のあるビール文化を日本市場に築き、ビールファンにささやかな幸せを届けたい」という意思の表れです。
日本のビール市場では、大手ビールメーカーが約98%ものシェアを占めています。当社のようなクラフトビールメーカーのシェアは、わずか2%です。このシェアをさらに広げることで、多様性のあるビール文化を作りたいと考えています。
本セッションのテーマには「ファン作り」が含まれています。ファンの支持なくして会社の成長はあり得ません。ファンを深く理解してより良い企業活動につなげるべく、ここ数年は“ぞっこん度”という独自の指標を用いたブランドロイヤリティ調査を実施しています。年に一度、SNSや通販で接点のあるお客様に対して次のような質問を投げかけているのです。

佐藤:調査の結果を見ると、ブランドに対する好意と購入金額に明確な相関がありました。何度調査を実施しても同様の相関が見られます。