花王は、5月24日、「花王サステナビリティレポート2024」を公開し、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の進捗状況を公表した。
「生物多様性の行動指針」公開とTNFDフレームワークに沿った情報開示の推進
同社は、パーム油や紙・パルプなど、多くの天然資源の恩恵を受けて事業を行っている。生物多様性の保全と回復、さらに自然を再生へと導く活動が企業に求められている昨今の状況を受け、2023年10月に「生物多様性保全の行動指針」を改訂し、「生物多様性の行動指針」として公開。生物多様性に関わる具体的な活動や、国際的なフレームワークに沿った情報開示などについて定めている。新たに「人・自然と化学の共生をめざす」という項目も加え、化学物質による生物多様性への影響の評価を実施するとし、生物多様性と気候変動の双方の課題に対応していく姿勢も示しているという。
また、2023年9月に公表したTNFDの最終提言となるフレームワークに沿って分析を進め、昨年特定したリスクにより想定される財務インパクトを新たに公表している。引き続き、ネイチャーポジティブを前提とした生物多様性戦略の立案と目標設定、具体的な活動に取り組んでいくと述べた。
人権の尊重とDE&Iの推進
同社は、人権に関係する多くのテーマに、重点的に取り組むとしている。2023年は有識者の意見も踏まえ、花王グループにおける人権リスクを一覧にまとめるとともに、花王における重要な人権テーマを「ともに働く人々の労働環境」とし、特にリスクが高く優先的に取り組みを進める対象を「原材料調達先の生産者や農家」「グループ会社を含むサプライチェーン上の外国人労働者」とした。加えて、2023年のアセスメントを通じて、新たに気候変動に伴う人権リスクを一覧に追加したとのことだ。
また、2023年6月には、「DE&I方針」を新たに策定。さまざまな事業を展開していることで得られる多くの機会を活用しながら、社員、ビジネスパートナー、生活者を含む社会といった、各ステークホルダーと共にDE&Iの実践を促進し、社会と事業のさらなる発展を目指していくとした。