結局、将来のことは誰にもわからない?
事業計画を立てようとすると、どんな前提が“正しい(正確)”のかをトコトン追及しようとする人が多い。例えば、売上予測を作るときに、市場をどうみるのか、その中での「シェア」や「毎年の伸び率」などを正確に当てようとする。
実際にはとても難しいことに気付き、「やっぱり難しくてできない」「どこかに正確な予測ツールはないのだろうか」といったことに思考が向きがちだ。私のところにも、「どうやってデータを活用すると、より精度の高い将来予測ができるのか」、その方法論を聞きにやってくる人が少なくない。
もちろん、できる範囲でより精度が高い(とその時点では思われる)予測や前提を立てて事業計画に反映することは最低限必要なことであるし、努力すべき点だとは思う。
ところが、「どこかに正しい(正確な)答えがあるはず」という思い込みを捨てきれないと、間違った方向にエネルギーと時間を費やしたまま、悶々とすることになるだろう。
この問題は、結局将来のことは読み切れないという当たり前の結論に帰着する。
そして実際に事業をスタートした後にその成否を分けるのは、事前の予測の精度もさることながら、計画に対して関係者がどれだけコミットできたか、ではないだろうかと私は考える。
つまり、より精度が高い(と思われる)計画よりも、関係者がコミットした(が実際には計画通りにならないケースもある)計画のほうが、実行性、実現性が高いということだ。責任の明確さ、認識のされ方の違いが大きいためであろう。