ヘッジファンドのAI活用は進化する
――欧米のヘッジファンドの動向も紹介されています。
櫻井 従来からの統計解析の発展技術として機械学習などは使われてきたと思います。ファイナンス理論では、一時期ランダムウォーク理論などが出てきましたが、実際はランダムではなくて、パターンがある。そのパターンを読み取ることが、相場に勝つことだという考えに帰着します。古くからあるチャート分析などですね。ヘッジファンドがやっていることも基本的には同じですが、最近の機械学習の進歩により、従来よりはるかに高度な統計分析・パターン認識ができるようになってきています。 また、Google子会社のディープマインドなどは、それまでの機械学習やディープラーニングから一歩進んだ深層強化学習という方法で、人間の最上位の意思決定や制御の技術を確立しつつあります。今後はそうした、これまでとは次元の異なる人間の意思決定に関わる技術が発展して、ヘッジファンドなどでも応用されるようになるでしょう。