ガートナーのハイプ・サイクルは、市場に新しく登場したテクノロジがまず過熱気味にもてはやされ、熱狂が冷める時期を経てから、市場が確立し、市場分野における意義や役割が理解されるようになるまでの典型的な経過を示したものだ。ハイプ・サイクルからは、企業はハイプが起こっているというだけの理由でそのテクノロジに投資すべきではなく、初期の過剰な期待にかなっていないというだけの理由でそのテクノロジを無視すべきでもないという、単純明快なメッセージが見て取れる。つまり、自社に利益をもたらす可能性のあるテクノロジを見極めた上で、積極的かつ早期に投資することが重要だという。一方、自社にとって影響の小さいテクノロジについては、早期に導入した他社の状況を見つつ、テクノロジの成熟が進むまで自社での採用を見合わせることも得策となり得るとする。
2007年より発表している「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル」は、ユーザー企業のCIO、IT部門のリーダー、テクノロジ・ベンダーのマーケティング、製品開発、戦略企画担当者に向けて、先進テクノロジのポートフォリオを策定する際に考慮すべきトレンドを業種横断的な視点で示したものだ。ガートナー ジャパンは10月5日に、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」を発表した。このレポートでは、近年ガートナーがその重要性を強調しているNexus of Forces(力の結節:モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーションという4つの力の強固な結び付き、以下、Nexus)との関連性と、デジタル・ビジネスの進展への貢献という視点から、代表的な38のキーワード(テクノロジ、方法論、プラクティス、コンセプト)を選定し、日本国内におけるトレンドを示している(図「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」(出典:ガートナー、2016年9月)参照)。
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