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NICT、超小型衛星「SOCRATES」による量子通信の実証実験に世界で初めて成功

宇宙と地上を結ぶ超長距離・高秘匿な衛星通信網の構築に向けて

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 NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)は、超小型衛星「SOCRATES」を使い、東京都小金井市にあるNICT光地上局との間で、光子1個1個のレベルで情報をやり取りする量子通信の実証実験に成功したことを発表した。この成果は、英国科学誌「Nature Photonics」のオンライン版に日本時間7月11日午前0時に掲載された(誌上掲載は8月号)。(画像は「SOCRATES」とSOTAのイメージ図)

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 「SOCRATES」は、重量50kg、サイズ50cm角で、衛星量子通信用途としては世界最軽量・最小サイズの衛星になる。この衛星には、NICTで開発した小型光通信機器(SOTA)が搭載されており、毎秒1千万ビットの速度で光の信号を地上局へ送信する。地上局では光子1個1個の到来を検出しながら信号を復元することで、高度600kmを秒速7kmで高速移動する衛星との量子通信を実現した。超長距離・高秘匿な衛星通信網の構築に向けた大きな一歩になるとしている。

 今回の成果により、これまで大型衛星を必要とした衛星量子通信が、より低コストの小型衛星で実現できるため、多くの研究機関や企業による開発が可能になると期待されるという。

 21世紀に入り、小型衛星を低コストで打ち上げる技術が進展し、多数の衛星を連携させ、地球全域をカバーする通信網や高解像度の観測網を形成する「衛星コンステレーション」構築への取組が活発化している。そこでは、短時間で大量の情報を安全に地上まで送信する技術が必要になるが、従来の電波やマイクロ波は使用できる周波数帯が既に逼迫しており、通信の大容量化には限界がある。これに対して、レーザを用いる衛星光通信は、広大な周波数帯を持ち、電力効率の高い伝送が可能なため、衛星通信網を支える重要な技術として期待されているという。

 また、更なる長距離・高秘匿化を実現できる衛星量子通信の研究開発も、日本、中国、欧米各国で活発に行われている。2016年8月には、中国科学技術大学を中心とするチームが600kgの大型の量子科学技術衛星を打ち上げ、2017年6月に1,200km離れた2つの地上局に向けて衛星から量子もつれ配信を行う実験に成功した。

 NICTでは、超小型衛星(SOCRATES)に搭載された衛星搭載用小型光通信機器(SOTA)から、2つの偏光状態に0,1のビット情報をランダムに符号化した信号を毎秒1千万ビットの速度(10メガビット/秒)で地上局へ送信した。東京都小金井市にあるNICT光地上局では、口径1mの望遠鏡でSOTAからの信号を受光し、量子受信機まで導波してビット情報を復号した。

 地上局に届いた信号には、パルス当たり平均0.1光子という微弱なエネルギーしか含まれていない。NICTは、この微弱信号を低雑音で検出できる量子受信機と、微弱な光子検出信号から直接、衛星・地上局間での時刻同期および偏光軸整合を確立する技術を世界で初めて開発し、重量50kgの超小型衛星による量子通信を世界で初めて実証した。これは、従来の衛星光通信より更に高効率な通信や、情報漏えいを完全に防ぐ量子暗号の基盤技術になるという。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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