6月26日におこなわれた発表会では、最初にSlackのCEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールドが登壇。2014年の創立以来、Slackは日本市場でも急激に伸びており、昨年11月の日本版のローンチ時点で31万人だったユーザーが50万人になったと述べた。このユーザー数は世界でも第二位だという。
日本での人気についてバターフィールド氏は「日本の職人芸の世界と世界の様々な技術を取り込んできた精神」を理由に上げ、Slackのコンセプトが日本人の「改善、チームワーク、完璧を求める風土」に見合ったものだと語る。
またSlackにソフトバンクとして投資している孫正義会長のビデオメッセージを紹介。「Slackがなければ仕事が出来ないという会社が増えている。日本での今後の成長と成功を株主として信じている」(孫正義氏)
続いて日本のカントリーマネージャーの佐々木聖治氏が登壇。グローバルでの日間アクティブユーザーが800万人であること、そのうち300万人が有料ユーザー数であることなどを紹介。
日本での日間アクティブユーザー数は50万人以上、そのうち有料ユーザー数は15万人となるという。
佐々木氏は、Slackが世界でも最下位である日本の生産性の向上という課題に対して貢献することを強調。「現在メール、メッセージやクラウドツールが大量に出てきたことでユーザーからは1000を超えるサービスがあり、適切な情報の共有がおこなわれずビジネス実行上のスピードが損なわれ、想定外のトラブルも増えています」と問題を指摘した。
こうした課題に対して「ビジネス・コラボレーション・ハブ」として解決していくのがSlackの役割で、その特長は以下になるという。
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チャンネル:ユーザーのコミュニケーションが一つの空間で行われ、部署やプロジェクトごとに分かれユーザーが追うべき情報が明確になる。コミュニケーションが活発な組織ほどパブリック・チャンネルの利用率が高くなる。2025年までにチャンネルによるコミュニケーションがメールを置き換えるという。
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共有:大量な資料やデータを共有、共同編集をリアルタイムに実現する。
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検索:AIを搭載した検索により過去から現在までの多様な人との会話、問い合わせ情報、共有されたドキュメントが会社全体の資産として活用できる。
またこうしたコミュニケーションや共有機能だけでなく、「個別の業務システムにアクセスすることなく、Slack上でそれらを利用する」というアプリケーション・プラットフォームとしての機能も大きな価値だという。
また大企業向けに、より高いセキュリティとコンプライアンス対応を備えた「Enterprise Grid」も用意しているという。
DeNA、電通デジタル、メルカリが導入を語る
後半ではアナウンサーの海保知里氏がモデレータとなり対談、パネルディスカッションが行われた。
バターフィールド氏と海保氏との対談では、Slack生まれた経緯が語られた。バターフィールド氏のゲーム会社が、開発をおこなうための社内ツールとして生まれたのがSlack。開発の生産性が格段にあがったことでゲームよりSlackがメインにすることにしたという。
「Slackというのは全体のシステムの“余剰”を表す言葉で、そもそもネガティブなニュアンスもあった。ソフトウエアマネジメントで有名な同タイトルの本がありヒントになった。余剰を集約し効率化するという意味からつけた」というストーリーを明かした。
そして、将来的には「AI・機械学習」とコミュニケーションツールが加わることで、Slack
がパーソナルなインテリジェントツールとなり「人々の意思決定や判断を助ける参謀ツールになる」というビジョンを語った。
パネルディスカッションではDeNAの成田敏博氏、電通デジタルのアオ ペドロ氏、メルカリの唐澤俊輔氏がSlackの導入にまつわる経緯や効果について語った。
DeNAのSlackの導入は4年前からで、徐々に浸透し昨年9割を超え全社導入に踏みきった。現在ユーザー数は3300、ワークスペースは150でチャンネル数は4000だという。グループ全社で使っており、「ベイスターズのラミレス監督もSlackのアカウントは持っています。」(成田氏)という。
電通デジタルでは4月に全社導入を決定し、現在導入プロジェクトが進行中だ。社内だけではなく社外、グループにも置き換えを行っていく。
メルカリではSlackの導入は3年前。当初はエンジニアの現場が使いだしたが今ではグローバルの全社で利用している。
DeNAの成田氏は、社内ではSlackとボットを組み合わせ、問い合わせ対応にも活用しているという。導入後の効果について「当初エンジニアから広まったが、今はそれまで全く交流の無かった部署間や役員、社長とのコミュニケーションも発生している」(成田氏)と言う。メルカリの唐澤氏も「性善説の組織なので自由にコミュニケーションをおこなっている。ダイレクトやパブリックの比率を見るなどしている。やはりオープンでパブリックなコミュニケーションが活発な方が良い」と語った。また成田氏、唐澤氏とも共通して「なるべくDMのような個別のやりとりを減らしてオープンにした方が組織が活性化する」と語った。