Plug and Play はスタートアップと大手企業のマッチングをはかるグローバルなベンチャーキャピタル/アクセラレーター。2006年の創業以来多数のユニコーン企業を輩出しており、支援先企業は2,000社以上、資金調達総額は60億ドルを超える。
Plug and Play Japanはその日本支社として2017年7月に設立され、今回のEXPO(
一般にDemo Dayと呼ばれるもの)は、2018年6月〜9月期に実施した「Batch 1」プログラムの成果発表となる。4業界(Fintech、Insurtech、IoT、Mobility)において、2日間を通して44社のスタートアップが、公式パートナーである国内大手企業14社と共に、3ヶ月間の成果を発表した。
日本のIoTは大企業の技術資産を活用すべき
会期中は、いくつかの講演やパネルディスカッションが行なわれた。初日のIoTセッションでは、株式会社経営共創基盤(IGPI)の塩野誠氏、株式会社マクアケ社長の中山亮太郎氏、Business Insider Japan統括編集長の浜田敬子氏によるパネルディスカッションが行われた。
クラウドファンディング事業を展開するマクアケの中山氏は、「日本のIoTスタートアップの数は増えていないが、大企業の研究開発という宝の山がある」と述べ、これをリーン・スタートアップの手法やクラウドファンディングを通じて、マーケットに出していくことが有効だと語った。塩野氏は「IoTは売上よりもコストサイドに効くのでネット企業が注目しないような地味な分野が可能性がある。GAFAのようなスケールではなくても、コインパーキングでのIoT活用のような一見地味な分野も有望」と考えを示した。
大企業の中でスタートアップとの協業を実践するためには課題も多い。塩野氏は、「オープンイノベーションごっこ」を脱するためにも、「社内に出島を作る」「オーナーシップを持つ」ことなどを訴えた。
生保業界はAmazonの脅威にどう備えるか
2日目のインシュアテック(InsurTech)のパネルディスカッションでは、早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏が、「保険業界もまたAmzonの参入などの脅威にさらされている」ことを指摘。エヌエヌ生命保険の信岡良彦氏は「顧客経験(CX)の圧倒的な改善が出来なければディスラプトされる」と語り、オリックスのダミオン・ヒューレット氏は「顧客志向とデータ・アナリティクスによる予測」の重要性を指摘した。また日本の保険業の意思決定の遅さという課題について、信岡氏は「組織をフラット化し、米国のやSpotify などのテック企業をベンチマークにしている」という。各氏とも、Amazonのような巨大プラットフォームに対抗していくために、日本の金融大手企業にとって、スタートアップとのパートナーシップが重要戦略であることを強調していた。
スタートアップ、パートナー合わせて21のアワードを発表
【EXPO Winner】EXPOで、最も得票を集めたスタートアップを表彰。
<Mobility> what3words Ltd.(http://what3words.com)
世界中を3メートル四方の空間に分け、たった3つの単語で位置情報を表わすシステムを開発
<IoT> ノバルス株式会社(http://novars.jp/)
電池出力コントロールや電池電圧・電流モニタリングを可能にする乾電池活用IoT電池ソリューションを開発
<Insurtech> SQREEM Technologies Pte Ltd(http://www.sqreem.com)
ターゲット顧客へのオンラインでのリーチを高精度に実現。AIに基づいたデジタル広告プラットフォーム
<Fintech> 株式会社GINKAN(http://ginkan.jp)
AI×トークンエコノミーを用いた全く新しいグルメSNS「シンクロライフ」を運営
【PnPJ Award】国内スタートアップの中で、世界展開の可能性が高い企業を表彰。受賞社には、Plug and Playシリコンバレー本社で、VC / 海外企業の前でのピッチ機会を無償で提供。
<Mobility> Trillium Secure, Inc.(http://www.trillium.co.jp/)
自動車や保険会社が必要とする自動車Cyber Securityの自動アップデートのシステムを提供
<IoT> ノバルス株式会社(http://novars.jp/)
電池出力コントロールや電池電圧・電流モニタリングを可能にする乾電池活用IoT電池ソリューションを開発
<Insurtech> 株式会社 justInCase(http://justincase.jp)
テクノロジーの力を使い、保険をより効率的に。アプリで簡単に入れるオンデマンドスマホ保険を提供
<Fintech> 株式会社GINKAN(http://ginkan.jp)
AI×トークンエコノミーを用いた全く新しいグルメSNS「シンクロライフ」を運営
【Global Startup Award】海外スタートアップの中で、日本市場への展開可能性が高い企業を表彰。
<Mobility> what3words Ltd.(http://what3words.com)本社:イギリス
世界中を3メートル四方の空間に分け、たった3つの単語で位置情報を表わすシステムを開発
<IoT> Motionloft(http://motionloft.com)本社:アメリカ
人や車の動きなどをCV機能搭載のカメラセンサーを通して取得・分析し、即時有用データとしてアウトプット
<Insurtech> Eltropy(http://www.eltropy.com/)本社:アメリカ
メッセージングアプリケーションを介して顧客の関心を引き、企業の収益を伸ばす営業支援ツール
<Fintech> Quantstamp, Inc(https://quantstamp.com/)本社:アメリカ
スマートコントラクトの監視、および脆弱性を自動的に発見する次世代セキュリティ企業
【Corporate Innovation Award】Batch 1のプログラム中、全社的な取り組みとしてプログラムの構築から運営までご支援いただいたパートナー企業を表彰。
<Mobility> 日産自動車株式会社
<IoT>株式会社フジクラ
<Insurtech>SOMPOホールディングス株式会社
<Fintech>東急不動産株式会社
【Ecosystem Builder Award】Batch 1のプログラム期間中に、Plug and Playのイノベーション・エコシステムの形成に貢献した”Champion”(企業パートナー窓口の方)を表彰した。
三菱UFJキャピタル株式会社 九鬼 隆成氏
日本通運株式会社 牧 信吾氏
【Startup Friendly Award】Batch 1プログラムの採択スタートアップからの投票で、”最も話を進めやすかった企業”として得票が最も多かった企業パートナーを表彰。
東急不動産株式会社
日本生命保険相互会社
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
■新パートナーについて
5日のMobility EXPOで株式会社マクニカ、そして6日のFintech EXPOでオリックス株式会社と株式会社三井住友フィナンシャルグループとの、日本における「エコシステム・パートナーシップ」契約の締結を発表した。
ブースでは、スタートアップやパートナー企業の展示の他、ミニステージでPlug and Play JapanのBatchプログラムの解説がおこなわれた。12週間のBatch(バッチ)を一区切りとし、年に2回プログラムを実施。今回のBatch1に続き、Batch2の応募が9月14日まで受け付けられ、2018年11月27日からプログラムが開始される。
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