Forecast Tech(フォーキャスト・テック)とは、予測を意味する「Forecast」と「Technology」を組み合わせた新しい言葉で、業種や取扱うサービスに関係なく、『テクノロジーを駆使して、将来における何らかの「予測」を行う』企業群を指す。
テクノロジーを駆使した予測技術は各分野に発展し、特に米国を中心に多くの企業が登場している。米国では、小売の売上・販売数・客数予測を行うRELEX、工場の生産設備の更新時期を予測し、設備投資の最適化を支援するC3.ai、セキュリティリスクの事前検知に特化したSecurity Scorecard等、複数のスタートアップが、これまでに累計100億円以上の資金調達を実施している。
日本においても、電力需要予測と発電最適化ソリューションを提供するパネイルや、IoTセンサーを用いて介護現場における高齢者の排泄予測を行うD FREEなどのスタートアップに注目が集まっている。
また、Amazonは、時系列データに基づく製品需要予測サービス「Amazon Forecast」のローンチを発表。日本でも、ソニーが機械学習を用いた予測分析ソフトウェア「Prediction One」を発表するなど、大手企業でも、テクノロジーを活用した予測サービスの開発・提供が加速している。
経済事象の予測分野においては、株価や先物価格の予測のみならず、株価や経済に大きな影響を与える事象を予測し、リアルタイムにデータ提供を行うDataminirが累計577億円の資金調達を完了、ユニコーン企業としての評価を得ている。また、経済事象全般の予測サービスを行うKensho.com(2018年3月にS&Pが約550億円で買収)やIR情報の解析により市場動向予測を行うPrattle Analytics(2019年6月にLiquidnetが買収、金額は非公開)、法人向け経済リスクを予測するAYASDI(累計106億円の資金調達を完了)など、米国では既に大型の資金調達・買収が相次ぎ、大きな盛り上がりを見せている。
日本でも、独自のアルゴリズムに基づく株価予測を提供するAlpaca、ビッグデータを用いた企業の売上予測を提供するNowcast、自然言語処理技術を用いたニュース解析により企業業績を予測するゼノデータ・ラボなどの企業が登場しており、今後も経済事象の予測領域は更なる盛り上がりを見せることが見込まれる。