今回中間報告をまとめた企業アンケート調査は、上場企業および資本金3億円以上の非上場企業を対象に、2018年秋および2019年秋の二度にわたり実施している。
日本企業が破壊的イノベーションを起こしにくい要因として、「イノベーションのリスクを取ることに消極的な経営」とする回答が67%を占めた。その背景として「失敗が許容されにくい企業風土」や「手続きや会議などが多く意思決定が遅いこと」「失敗が許容されにくい人事評価制度」など、制度面での課題が浮き彫りになったという。企業のイノベーション力強化に向けては、「失敗をマイナス要因と見る状況を変えること」「内部手続きや会議など内向きのエネルギーを軽減すること」の二点が、変革の第一歩だとしている。
イノベーション会議では、企業風土の変革や破壊的イノベーションに有効な手段とされる出島とオープンイノベーションの担い手等へのヒアリングを実施し、企業のイノベーション力強化に向けた提言として、下記項目を挙げている。
1.「リスクを取ることに消極的な経営」を変えるために
- 経営層は現場でのリスクへの挑戦を委縮させない企業風土をつくる
- 経営層は失敗をマイナス要因としない人事評価制度をつくる
2.イノベーションを起こす人材確保のために
- 社内外を問わず人材を得る
- 社内の「知の組合せ」には限界。意識的に多様性を持ち込み「知の探索」を図る
3.出島を成功させるために
- 出島への権限移譲など思い切った試行錯誤を行い、失敗できる環境を与える
- 出島と本社をつなぐ役割を重視する
4.オープンイノベーションを成功させるために
- 意思決定のスピード感を重視する
- 相手組織との相互信頼関係を醸成する