これは、コンピュータメモリの高密度化がほぼ限界を迎えるなかで、原子レベルでメモリとして機能する物質を開発する動きにおいて進展があったことを示すもので、これまでビスマスフェライトは有力な候補物質とされてきた。
今回の発表のポイントは次のように要約されている。
- ビスマスフェライトという物質において、磁場で制御できる新たな電気分極性分を発見し、この新しい成分が室温で示す不揮発性メモリ公開を観測できた。
- ビスマスフェライトにおいて、これまで見つかっていなかった性質を、瞬間的に発生可能な世界屈指のパルス強磁場を用いた精密実験で初めて明らかにした。
- 磁場で電気分極性分を制御できる性質は、消費電力が少なく磁石を近づけても情報が消えない磁気メモリ材料のような応用技術の発展につながると期待される。
今回の研究については、『Nature Communications』に「Magnetic control of transverse electric polarisation in BiFeO3」として発表される。