現時点で導入済みの企業は28%で、これに導入決定済/検討中を加えると全体の62%に達していることが明らかになった。社員数1万人以上の大企業に限れば、導入済み企業が37%、導入決定済/検討中を加えると78%と大勢を占める結果に。調査は2021年4月~5月にオンラインにて実施され、117社から有効回答を得た。
調査結果のハイライト
- 全参加企業のうち、現時点で既にジョブ型人事制度導入済み企業は28%。これに導入決定済/検討中を加えると全体の62%と過半数がジョブ型に舵を切っている(昨年度は導入済み企業26%、導入決定済み/検討中の企業を含め56%)
- 大企業(社員数1万人以上)に限れば、導入済み企業が37%、導入決定済/検討中の企業が78%と8割近くにまで達する(昨年度は導入済みと導入決定済/検討中を合わせた肯定的回答が66%)
- 導入目的は、「職務内容(=責任)の明確化」 と「貢献度(=責任の全う度)に応じた適正処遇」が突出して多い
- 導入企業の7割が職務記述書を既に整備しており、整備予定を含めると9割
- 新卒ではメンバーシップ型雇用が7割と主流も、中途採用ではジョブ型雇用が既に優勢
主な調査結果
- 全体では約6割、大企業(10,000人以上)に絞ると約8割が、導入、あるいは導入検討を行っている
- 導入目的、検討理由は、「貢献度(=責任の全う度)に応じた適正な処遇」「職務内容(=責任)の明確化」が突出して多い。キーワードは、「責任」
- ジョブ型人事制度導入企業の7割が何らかの形で職務記述書を既に整備。今後作成予定を含むと全体の約9割。特に「求める責任」と「(それを全うするために必要な)能力、経験」に力点を置いて作成
- ジョブ型人事制度を運用する上で、「(人事部内の)質、量両側面の人材不足」、「経営陣、現場責任者の理解不足」が主たる課題
参考:ジョブ型人事制度とは
人事制度を構成する等級制度・評価制度・報酬制度が「ジョブサイズ(職務価値)」を核として構成される仕組みで、ジョブサイズに応じて等級格付けをおこない、その等級ごとに相応しい評価・報酬をおこなうもの。これに対し、これまで日本で一般的だったのはメンバーシップ型(職能型)人事制度。社内で必要な職務能力を資格として定義し、資格ごとに報酬額を決める制度であることから、年功序列的な運用になりがちで、人件費高騰、若手社員のエンゲージメント低下や離職など、制度疲労が指摘されている。