この調査では、20~60代の一般市民を対象に、今後考えられるマイナンバーカードによる新規サービスに対する利用意向を把握し、マイナンバーカードの促進につながる「利用者視点」の民間サービスなどを明らかするため調査分析している。
主な調査結果
1.マイナンバーカードに対する認識
マイナンバーカード取得状況は、既に取得済み(申請中を含む、以下取得者)の回答が54.3%と最も多く、次いで取得意向がなく取得していない(以下未取得者)回答(32.3%)、取得意向があり取得予定の回答(13.3%)の順となった。年代でみると、20代は未取得者が最も多く、未取得理由として「特に理由はない」(30.9%)が最も多く選ばれており、マイナンバーカードに対して無関心であることが分かる。一方で、20代の取得者および取得予定者は、取得(予定)理由として「身分証明書として使えるから」(29.8%)に次いで多かった「利用したいサービスがあったから」(27.5%)を選んだ人の割合が他の年代と比べて最も高かった。マイナンバーカードによるサービスは、他世代と比べると高い割合で20代のニーズを満たせているが、一方でマイナンバーカードに無関心な20代もなお多いことから、未取得者層を含めた幅広い利用者を想定したサービス開拓の余地があることを示している。
2.既存サービスに対する反応
現在のマイナンバーカードで利用できるサービスの利用意向について、公共・民間サービスごとに利用したいサービスがあるかという調査をしたところ、それぞれ「特に無い」を選択した層が46.3%、71.5%と最も多く、国民のニーズを十分に満たした既存サービスが少ないことを示している。デジタル庁創設の目的の1つに掲げられている「デジタル活用により、一人一人がニーズにあったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」の実現に向けて、今後新規サービスを開発・導入するうえで、本調査を含めた国民のニーズ調査を行うことが肝要だとしている。
3.新規サービスに対する反応
5つのサービスカテゴリーごとに利用意向を調査した結果、「自己情報・証明書等取得」「マイナンバーカード所持者限定」「手続き簡易化」の3つのサービスカテゴリーは、全体平均値(54.1%)を上回ったサービスが複数あった。カテゴリーを横断的にみると、公共サービス中心のライフイベント関連および官民連携サービス中心の新型コロナ関連のサービスが全体平均値を上回っていた。一方で、教育関連、娯楽関連および日常生活関連のサービスは、全体平均値を下回っていたが、個々のサービスをみると、特定の年代は「利用したい」を選んだ層の割合が他年代と比べ比較的多いサービスが複数あり、さらなるニーズ分析でより潜在的ニーズを抽出できるとしている。
4.マイナンバーカード申請意向と阻害要因
1つ以上の新規サービスに対して「利用したい」を選択した未取得者層のマイナンバーカード申請意向は、「申請したい」が30.3%、「申請したくない」が69.7%となった。そのうち「申請したくない」を選択した層に、申請したくない理由を調査したところ「なくても生活が出来るから」が48.1%と最も多く、次いで「サービス自体は良いが、個人情報の漏えいが心配だから」(34.3%)「サービスを利用出来るシーンが少ないから」(29.6%)となった。