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オルツが示す「P.A.I.」の未来──AIクローンの現在地と裏側の技術、これからの変化を考える

オルツカンファレンス2023レポート(前編)

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 2023年5月24日、東京・ベルサール六本木にて「オルツカンファレンス2023」が開催された。本カンファレンスは「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を開発する株式会社オルツが主催しており、落合陽一氏や成田悠輔氏といったAI・データサイエンス分野の著名研究者ともディスカッションを交えつつ、P.A.I.の技術的内容に関するセミナーや、同社が提供する人格生成プラットフォーム「CLONEdev」のデモ実演などが行われた。本記事ではイベントの前半部分をレポートする。

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米倉CEO、成田悠輔氏、静電場朔氏のクローンを披露

 最初のセッションでは、株式会社オルツ 代表取締役 CEOの米倉千貴氏、経済学者・データ科学者の成田悠輔氏、アーティスト・シンガーソングライターの静電場朔氏が登壇者となり、実際に3者を模したデジタルクローンによるデモ実演などが行われた。

 まず、米倉氏が会社紹介および「CLONEdev」の紹介を行った。

 オルツは、人の人格をデジタル上に表現する「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を開発する企業である。全人類をデジタル上に再現することを目標にしており、2014年に創業されている。オルツでは、あらゆるデータを収集しており、人工知能を生み出す規模の巨大なニューラルネットワークを活用して、「その人」そのものをデジタル上に再現するP.A.I.の開発を進めてきた。同社は、P.A.I.の生成を通して、「私たちの記憶を永遠化する」「私たちの意思を再現する」「個人の価値の最大・永遠化を行う」という3つの目標を掲げている。

 今回新しく発表した「CLONEdev」は、WebUIを通じて個人をデジタル上に表現するサービスだ。SNSなどネットから得られるデータを、オルツの大規模言語モデルに学習させることで、パーソナライズされたAI、つまりP.A.I.が生成される仕組みである。なおCLONEdevのP.A.I.は本人の思考だけでなく、事前の登録データを基に顔や声も再現している。

 米倉氏による解説の後、「CLONEdev」のデモ実演が行われ、実際に米倉氏、成田氏、静電場氏の3人を再現したP.A.I.による自己紹介や会話が行われた。

左から株式会社オルツ CEO 米倉千貴氏、経済学者・データ科学者 成田悠輔氏、アーティスト・シンガーソングライター 静電場朔氏
左から株式会社オルツ 代表取締役 CEO 米倉千貴氏、経済学者・データ科学者 成田悠輔氏、アーティスト・シンガーソングライター 静電場朔氏

 デモ冒頭で成田氏のP.A.I.は「特別な緊張感はないです、様子を見ながら進めていく感じです」と挨拶し、実際の成田氏のような印象を与えた。ただしP.A.I.同士の会話では、「最近楽しかったことは何か」という質問に対し、相手となるP.A.I.の回答が遅いなど、改善の余地はまだまだありそうである。デモ実演後、登壇者はCLONEdevに対して次のような感想を述べた。

「とてもサプライズでした。P.A.I.の表情もドヤ顔でしたね。最近『アップロード』という映画を見たのですが、今回のP.A.I.はパラレルワールドが既に存在しているように感じました。これからアート作品を作るときはAIクローンと一緒に作ってみたいと思います」(静電場)

「今回、実働90秒くらいでデータを提供しています。そう考えると、実働の少なさと比較して生成されたクローンが私に似ていておもしろいと思いました。

また、“内容のなさ”についても人間同士の会話と似ていると感じました。そう考えると、“人間らしさ”とは、間の取り方や、長く話し過ぎてしまうといった、映像とテキストの生成では出てきづらい追加的な“どうでもいい”要素なのだと思います。そういった要素をP.A.I.にいかに組み込むか。つまり、人と人との『掛け合い』の部分が今後最も大きなカギになってくるのではないかと感じました。

演説のように『一人がしゃべり続ける』状態については、人間と遜色ないレベルにまですぐに至る気がしています」(成田)

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山口 伸(ヤマグチ シン)

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