トヨタ・コニック・アルファは、九州大学 荒川豊教授のヒューマノフィリックシステム研究室と共同研究契約を締結し、2024年秋から「ゆるやか連携」実証を九州大学の伊都キャンパスで行うことで合意した。
トヨタ・コニック・アルファは、2022年にジェーシービー(JCB)とデジタル・アイデンティティ領域で協業しており、自己主権型アイデンティティ、分散型アイデンティティの概念や、データの信頼性を証明するVCが標準化された仕組みの「ゆるやか連携」実証に取り組むことを、2024年3月に発表している。
九州大学の伊都キャンパスは、272万平方メートルという広大な敷地に、1.9万人の学生・教職員が集い、学食やコンビニエンスストア、寮などの生活環境、広大なエリアを移動するための敷地内道路が整備されている。トヨタ・コニック・アルファは、このような環境が、実際に人が暮らす街に限りなく近い理想的なフィールドであると考え、社会実装化を意識した実証実験を行うこととした。
なお、同実証実験には、イマーゴ(imago)が九州大学内に設置するシンクタンク「iQLab」も参加する。開始に先立ち、九州大学の学生を対象としたデジタルIDウォレット(DIW)のUI・UXに関する調査を行い、DIWのテスト開発を進めているという。
「ゆるやか連携」実証は、モビリティデータと生活者の相互運用性や具体的な社会実装を意識したユースケースを設定して、システムとアプリで構成される実証用インタフェースを開発し、次の内容で実施する。
- 実証対象:ゆるやか連携システム、個人用 ゆるやか連携アプリ
- 実証規模:人数を限定したクローズ環境を想定
- 実証モデル: 標準技術仕様・相互接用性を考慮したインタフェースの構築と実証
- ユースケース: ①mDL(mdoc)などの資格情報/マイクロモビリティなどのデジタルキー、②VC授受による権限授与/アプリ利用の各ユースケースの履歴照会/証跡照会、③これらによる属性情報と属性連携の実証
同実証を通じて、事業者間での信頼できるデータ連携技術、モビリティサービスへの有意性の確認とそれに伴う経済効果の検証を行い、2025年以降を目標に研究を進め他産業のサービスとのデータ連携を目指す。また、mDLやデジタルキーに関する技術研究を継続し、実用化に向けて具体的なユースケースの検討を進めるという。