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その新規事業、死んでいませんか?──ゾンビ化を防ぐ「出口戦略」の処方箋

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 新規事業を生み出す試みは多くの企業で拡大している。スタートアップとの連携や、社員からアイデアを募集して新規事業へと育てようとする「アクセラレーションプログラム」は活況であり、多くのプロジェクトが立ち上がっている。新規事業プロジェクトが増えると、実は困るのがプロジェクトの“畳み方”だ。事業会社で生まれる新規事業の「出口戦略」は、いつ、どのように立てるのがベストなのだろうか。また、その出口として「スピンアウト」「スピンオフ」という手段は有効なのか、出口戦略の不在で発生する「ゾンビプロジェクト」とは何か。その処方箋を解説する。

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新規事業に立ちはだかる3つの壁

 新規事業を生み出そうとする企業にとって、立ちはだかる壁は3つある。

1つ目の壁:有力な事業アイデアの創出

 有力な事業アイデアを生み出せずに、足踏みしている組織は多く存在する。一方で、ジョブ理論や社内新規事業アクセラレーションプログラムといった事業創出手法を活用しながら、この壁を乗り越えた組織も多く存在している。

2つ目の壁:アイデアの検証プロセス

 出てきたアイデアを検証するプロセス、つまりリーンスタートアップが実践できないことでつまずく組織も多い。ここで停滞する社内新規事業については、メンタリングを通して、加速させることは有効である。活動量と活動の質を高めるには一定の経験が必要だと言えるだろう。

3つ目の壁:出口戦略

 社内新規事業アクセラレーションプログラムの整備により、新しいアイデアが事業へと成長するまでの支援制度は整いつつある。しかし、生み出された新事業が本体からどのように自立していくかの戦略、すなわち「出口戦略」については手つかずの企業が見受けられる。

 前述したように、最初の2つの壁については対策が進んでおり、多くの企業で成長しそうな事業が生まれつつある。そこで立ちはだかるのが3つめの出口戦略である。そもそも出口戦略不足というのは自覚しづらく、顕在化しないケースも数多い。なぜなら、新規事業は上手くいけば、事業部が大歓迎で受け入れてくれるだろうという思い込みがあるからだ。

 新規事業が既存事業から遠ければ遠いほど、事業部に吸収するための変革が求められる。「破壊的イノベーション」を「ディスラプティブ・イノベーション」とも呼ぶが、ディスラプトとは「混乱」を含む言葉だ。

 では「CVC」はどうであろうか。スタートアップに投資することで既存事業から遠い事業に取り組めると考える企業も多い。しかし、きっかけがスタートアップへの投資であっても、シナジーを求めた瞬間、本業の変革が必要となる。

 スタートアップに期待し、「変革」の必要性を感じていない企業がますますディスラプト(混乱)する姿を筆者は見てきた。その結果、事業部とCVCの溝が生じたり、存在意義が問われたりしている。日本企業によるM&A件数が少ない理由の1つも、この投資後の混乱を避けているためと考えられる。

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“5つの出口戦略”を徹底解説

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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