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JR西日本がデジタル変革を推進できる理由──デジタル人材の内部発掘と革新的データ処理基盤の活用とは?

【後編】ゲスト:西日本旅客鉄道株式社 デジタルソリューション本部 システムマネジメント部 CCoE・モダナイズ 柴田修作氏

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 連載第二回のゲストは、西日本旅客鉄道株式社(以下、JR西日本)のデジタルソリューション本部システムマネジメント部CCoE・モダナイズ所属である柴田修作氏。連載第一回でも取り上げたとおり、JR西日本はギックスとの協働で、グループ共通の顧客IDに紐づくWESTER会員・ポイント・アプリなどを用いた「WESTER体験」の構築を目指している。同社が提供する幅広いサービスを繋ぎ合わせ、独自の経済圏を確立するのが狙いだ。本記事では、鉄道事業を主軸としていたJR西日本がなぜデジタル領域の拡大を実現できたのか、そしてその取り組みで重要な役割を果たした「リアルタイムリコメンド基盤」とは何かに迫る。ナビゲーターは、株式会社ギックス 代表取締役 COO/Data-Informed事業本部長の花谷慎太郎氏。

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コロナ禍の危機感をきっかけにデジタル特化の事業本部を設置

──本日は、ギックスの花谷慎太郎さんをホストに、JR西日本で「WESTER体験」の構築を手がけるデジタルソリューション本部の柴田修作さんにお話を伺います。まず、お二人の関係性は。

花谷慎太郎氏(以下、敬称略):2020年にギックスが提供するキャンペーンツール「マイグル」を、JR西日本グループのショッピングセンターのポイントやサービスをまとめたアプリ「WESPO」に導入する際に、導入の担当者を務めたのが柴田さんでした。その後、柴田さんにはギックスに出向いただいたこともありますし、現在の所属でも数々の場面でお力を借りています。

柴田修作氏(以下、敬称略):花谷さんと知り合った当時、私はショッピングセンター事業を運営するJR西日本SC開発に出向しており、オンラインとオフラインを融合したマーケティング施策を担当していました。ちょうどそのころに花谷さんと面識を得て、データ収集・分析に基づいてデジタルからリアルへの送客を実現するマイグルに可能性を感じ、導入プロジェクトを担当することになりました。

──そもそも、JR西日本がデジタル領域を拡大するきっかけは何だったのでしょう。

柴田:やはりコロナ禍の影響は大きかったと思います。もちろん、以前から、人口減少に伴う鉄道利用客の縮小は予測されていました。しかし、コロナ禍による外出自粛や移動制限を起因として、テレワークやweb会議といった新たな日常が突然やってきたことで、もう少し先だと見込んでいた鉄道利用の減少が現実になったわけです。

 そうしたなかで、鉄道以外の事業でいかに価値を提供し収益を上げるかという点に、組織全体の意識が向かいました。JR西日本は2023年に10年後のありたい姿を構想した「長期ビジョン2032」を策定し、そのビジョンの中で実現したい未来のうちの一つとしてリアルとデジタルを組み合わせた個客体験の大きな向上を盛り込んでいます。これにはコロナ禍に直面した危機感が、かなり影響を及ぼしていると思います。

 実際に、近年、デジタル領域へ重点シフトが進み、組織改変も続いています。私が所属しているデジタルソリューション本部は、「移動に頼らないビジネスモデルの構築」「従来の成長モデルの磨き込みによる高付加価値化と新たな移動の創出」の実現を目的として、デジタル技術やデータ活用などを用いて変革を推進するために、事業本部の一つとして2020年に設立されました。

 元々システム領域はIT部門が中心を担っていましたが、よりデジタルを推進するために、社内のビジネス部門などの人材や社会人採用により社外の人材を集めて、デジタルソリューション本部は設立され、成長してきました。現在は、組織人員が当時の数倍近くに増えており、本部長は取締役の奥田(英雄氏)が務めていることからも、JR西日本のデジタルに向ける本気度が伝わるかと思います。

画像を説明するテキストなくても可
資料提供:「JR西日本グループ長期ビジョン2032 中期経営計画2025」(2023年4月28日)/クリックすると拡大します

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「守り」から「攻め」へ。似て非なる領域でのデジタル変革

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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