ASIJは、1902年に創立されたインターナショナル・スクールで、東京都調布市と港区六本木に校舎を構えている。同校では、1980年代半ばにパソコンが導入され、1990年代前半にはNTTが実施していたパイロットプログラムにより、日本で初めてインターネットに接続した学校の1つとなった。
同校のコンピュータシステムは、Macを中心に構成され、現在、6年生から12年生の全生徒がApple MacBook Pro、またはMacBook Airを所有し、2年生から5年生までの全生徒が専用のiPadを持ち、またアーリーラーニングセンターの子どもたちもiPadを使っている。
教職員のほとんどがMacBook ProとiMacを使用し、生徒も教職員も校内に構築されている無線LANに簡単に接続できる。
ASIJのコンピュータは1,500台以上におよび、7名で構成されるITチームがその管理・サポートを行っている。このITチームにとっての大きな課題であったのが、全コンピュータをMacで統一できないことだった。
同校では、生徒の情報管理や在校生、卒業生とその家族情報の管理、ならびに資金調達、加えて同校Webサイトの管理では、Education Edge(EE)やRaiser's Edge(RE)、NetCommunityコンテンツ管理システムなど、米国Blackbaud社のアプリケーションを利用している。
Blackbaud のアプリケーションは、米国の多くの学校や非営利団体が利用しているが、Windows版のみの提供。一方、他の教職員や生徒との通信やWebサイト作成等にはMacを利用している。そのため、技術、通信、管理部門の一部職員約40名は、MacとPCの2台のコンピュータを併用せざるを得なかった。
2種類のコンピュータが混在するため、システムが複雑になり導入費用も余計にかかる。ITチームでは、Blackbaudのアプリケーションに対応するためだけに、管理の手間と追加のコストをかけることは避けたいと考えていた。
2台のコンピュータを使い分けることは、職員にとっても負担で、通信および年間サポート主任を務めるマット・ウィルス氏は当時を振り返り、「ちょっとした調べもののためだけに、PCを起動しログインしなければならなかった。それはこの上ない苦痛でした」と述べている。
その問題を解決するためにITチームが選んだのが、「Parallels Desktop for Mac Business Edition」の導入によるWindows環境の仮想化だった。Windowsが必要な40台超のiMacに Parellels がインストールされている。OS Xに含まれるBoot Campを利用すれば、追加費用なくMac上に仮想化されたWindows環境を構築できる。しかし、OSを切り替えるたびにMacを再起動しなければならない。
ITサービス部長のジョシュ・ローブ氏は、「Parallels Desktop for Mac Business Edition」を採用した理由を次のように述べている。「業務上、OS XとWindowsを1日に何回も切り替えることになります。システムを再起動する回数を考えると、Boot Campは現実的ではないと判断しました。仮想化ソフトウェアは数種類ありますが、検討の結果、操作性に優れ、品質が高く、動作が機敏なParallels Desktopが最適だという結論に達しました」
また、マット・ウィルス氏は、「Parallels Desktopのおかげでコンピュータを切り替えなくてもよくなり、ワークフローがより簡単なものになりました」と述べている。システムがシンプルになり、シームレスに作業ができるようになったと、2種類のコンピュータを使い分けていた他の職員の評判も上々だという。
「Parallels Desktop for Mac Business Edition」を選択する際はコストよりも品質を重視したそうだが、ローブ氏によればParallelsの導入により、ASIJでは3年ごとにハードウェアだけで約24,000米ドルものコスト削減が実現できると述べている。ITチームにとってはサポート時間が短縮され、ストレスも大きく軽減されたと報告されている。
「Parallels Desktop」を導入したiMacは、OS Xからは校内の無線 LANにアクセスできるため、他のMac同様の作業環境が確保されている。しかし、「Parallels Desktop」で動作するWindows仮想環境でBlackbaudのアプリケーションを使うときには、セキュリティを考慮して無線LANとは切り離された有線ネットワークに接続するように設定されている。