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「信頼」を業績向上につなげる。EX/CX投資で過去最高売上を達成した、トリドールの心的資本経営

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信頼は経済合理性につながる/心的資本経営を実践するトリドール

 顧客や従業員との信頼構築への経営投資を、事業拡大につなげている実践企業として、トリドールホールディングス 代表取締役社長 兼 CEOの粟田貴也氏が登壇した。

株式会社トリドールホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO 粟田貴也氏

 同社は「丸亀製麺」を主力に20以上の外食ブランドと、国内外で約2,300店舗を展開する成長企業。2026年、外食産業は深刻な人手不足やコスト高騰という厳しい状況においても、同社は独自の経営哲学で進化を続け、ファンを増やし続けている。

 粟田氏が提唱するのは、働く人の幸せを原動力とする「ハピカン経営(心的資本経営)」だ。なぜ今「人の心」への投資が最強の成長エンジンになるのか、粟田氏は創業当時を振り返りながら紐解く。

ハピカン経営とは:従業員の幸せ(ハピネス)と顧客の感動(カンドウ)を軸に従業員の意欲と店舗の繁盛を高める経営思想。安心、繋がり、貢献実感、誇りから成る「ハピネス」が内発的動機を引き出し、顧客への「感動」を生み、それが好循環(ハピカン繁盛サイクル)となって利益を生み出す仕組み。

 創業当時、客足が途絶えない店舗を目指し、深夜営業や競合のいない“すき間”、ブルーオーシャンを探し求めていた。しかし、その不安が消えることはなかった。「コアコンピタンスのない成長は、やがて競合に巻き込まれ、衰退していく」と気づいたのだ。

 転機は、香川県で目にした「製麺所」の光景だったという。「店作りもサービスもない場所にお客様が長蛇の列を作っていたんです。私は、効率化された『モノ』ではなく、目の前でうどんが茹で上がるライブ感、すなわち『体験価値(感動)』を求めているのだと確信しました」と粟田氏は振り返る。この「手づくり・できたて」の感動を全国、そして世界へ広げたのが丸亀製麺である。

 「感動を売る」ことを掲げ成長を遂げた同社だが、粟田氏は一つの本質的な問いに行き着く。「お客様に感動を提供しているのは誰か」ということだ。

 最前線で働くスタッフに笑顔がなくては、感動を再現することはできない。そこで同社が舵を切ったのが、「心的資本経営(ハピカン経営)」だった。これは、働く人の幸せ(ハピネス)が、顧客の感動(カンドウ)を生み、その好循環で持続的な事業成長を実現する経営改革だ。

「これまではトップダウンの指示が中心だったが、これからは働く一人ひとりの『内発的動機』がエンジンになる。人が潜在能力を信じ、幸せを感じて自ら動く。そこに感動が生まれ、繁盛に繋がる」(粟田氏)

 この理念を、トリドールホールディングス傘下の国内の各業態約1,100店舗で働く約4万人の従業員全員に浸透させるため、同社は2024年7月より「ハピ→カンコミュニティ」というプラットフォームを導入した。この取り組みをコミューンが支援している。

 アプリ上では、日々の仕事のやりがいや個人的な喜びが写真と共に投稿され、組織内に「繋がり感」や「貢献実感」を醸成している。粟田氏自身も「社長日記」として創業時の想いを綴り、双方向のコミュニケーションを行っている。現在、社員のログイン率は88%、アクティブ率は32%に達し、アルバイトスタッフを含め約2万人のスタッフが「信頼」で繋がっている。

 もちろん数値的な成果は、施策のアクティブ率にとどまらない。2024年6月から心的資本経営の社内浸透を進めてきた結果、従業員の離職率は約12.9%低下参考)、2025年度第3四半期の売上収益は2,105億1百万円(前年同期比4.3%増)と過去最高を更新している(参考)。

「我が社も上場企業として、売上や利益は大切。だが、売上・利益をとるには、やはりお客様に来てもらわないと始まらない。お客様を連れてきてくれるのは、日々お店で働いている人の笑顔。従業員のハピネスこそ、我々の無限の成長エンジン。総力をあげて、このハピカン経営こと、心的資本経営に取り組んでいく」(粟田氏)

 同社が実践するハピカン経営は、まさに「EX(従業員体験)がCX(顧客体験)を創り出し、事業成長を実現する」という循環を可視化したものだ。人口減少やDX化が進む今だからこそ、あえて「人」の心的資本に投資すること。その信頼の蓄積こそが、AI時代に模倣困難な独自の競争優位性を築く鍵となるだろう。

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Biz/Zine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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