「レジリエントな組織」を考えるためのフレームワーク

第1回

 本連載では、「外部変化があればあるほど、それを糧として新たなソリューションからイノベーション」を生み出す組織を「レジリエントな組織」と呼び、この「レジリエントな組織」を構築し、運営するためにはどうすればよいかについて検討を進めていきます。第1回目の今回は、「レジエントな組織」を考えるためのフレームワークを共有し、レジリエントではない組織に起こった巷によくある千載一遇のチャンスの見失ったケースや、本連載独自のレジリエントな組織論を展開するための方向性を提示、共有いたします。

[公開日]

[著] 吉沢 康弘

[タグ] タレントマネジメント 組織マネジメント レジリエンス 内向性

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あなたの組織は「レジリエント」か「レンガ型」か?

 「レジリエントな組織」とはつまり、次々と襲ってくる予想外の変化や想定外の事態を受け止め、吸収し、そしてそれをエネルギーとして、従来になかったような新しいソリューション、価値提供、イノベーションを提供してしまう組織のことを指します。

レジリエントな組織のイメージ図1:レジリエントな組織のイメージ
出典:蛭間芳樹 世界経済フォーラム ナショナル・レジリエンス研究担当

 一方、日本の高度経済成長期に代表される典型的な「良い組織」は、この概念と対局的なものであり、よく「レンガ」になぞらえられます。

 これは、下図のように、「組織として取り組んできたこと」が着実に積み上げられていき、労働した時間の長さだけ成果が生まれるという前提に立ったものとなります。

レンガ型組織のイメージ図2:レンガ型組織のイメージ

 この両者の大きな違いは何かと言えば、変化によって新たなものを生み出すか、あるいは変化が脅威になってしまうか、という1点に尽きます。

 本連載では、この「外部変化があればあるほど、それを糧として新たなソリューションからイノベーション」を生み出す組織を「レジリエントな組織」と呼び、このレジリエントな組織を構築し、運営するためにはどうすればよいかについて検討を進めていきます。

レジリエントな組織にある“3つの特徴”

レジエントな組織の構造図3:レジリエントな組織の構造

 著作『ワーク・シフト』で有名な、ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授は、世界中の主要なグローバル企業に対するリサーチを踏まえ、最新作『未来企業』の中で、「レジリエントな組織」の構造を上図のようにして説明しています。

1:個人の活力

 まず、組織に所属する一人ひとりは、「個人としてモチベーションが高く、活力にあふれていること」が前提となります。個人の活力の主な要素としては、

  1. 仕事とプライベートがよいリズムを刻んでいるか?
  2. 自分は、価値ある仕事に取り組んでいるという確信を持っているか?
  3. じっくりと個人で物事を考えることができているか?

 が挙げられます。

2:社会的つながり

 レジリエントな組織の2つ目の要素としては、「社会的つながり」が良い状態にあることが挙げられます。これは具体的には、以下のような要素によって構成されます。

  1. 互いが思ったことを素直に口に出しあい、活発な議論を行っているか?
  2. 仕事上の責務の履行状態を、互いに透明性高く把握できているか?
  3. お互いに相手に対する思いやりに溢れているか?

3:知恵・知識の増幅

 そして、レジリエントな組織の3つ目の要素は、「個人・チームで生み出した知恵や知識、アイデアの業務への適用」が、しっかりと行われている状態であることが挙げられています。

  1. 生み出された知恵や知識は、個人/組織の壁を超えて活用されているか?
  2. 問題解決のために広く社外に助けを求め、巻き込み、活用しているか?
  3. 失敗を前提に、実験的な取り組みが積極的に行われているか?