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競争優位性を構築する組織カルチャー変革

三谷産業 三浦氏が語る、日本企業が海外の現地法人の経営で押さえるべき「企業文化」の要諦

ゲスト:三谷産業 三浦秀平氏(後編)

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 アイディール・リーダーズ株式会社CCO(Chief Culture Officer)の宮森千嘉子氏がホストとなり、高いCQ(Cultural Intelligence Quotient:カルチュラル・インテリジェンス指数)を持つリーダーであり組織文化変革を実現した企業家にお話を伺う本シリーズ。三谷産業株式会社 取締役 海外事業担当 ベトナム事業企画促進室長の三浦秀平氏をゲストに迎えた本記事の前編では、現地のベトナム人が経営の主体となる組織作りに尽力されてきた三浦氏の考え方が明らかになった。後編では、互いの違いを理解しつつ日本の企業として重要な文化やルールを理解してもらうにはどうするか、他国の企業に比べて求心力が下がっている日本企業の価値をいかに高めるか、具体的な取り組みを聞いた。

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社内規定や評価制度の理解浸透への苦労

宮森千嘉子氏(以下、宮森):ここまで、30年前からベトナムに進出されている三谷産業さんで、現地のベトナム人の方を中心に事業を回す体制を作ってこられたお話を伺いました。三浦さんが入られた時点では、その体制はどのくらい実現されていたのでしょうか。

三浦秀平氏(以下、三浦):私が入ったのは2006年ですが、まだまだ日本人のマネジメントが主軸でしたね。他の日系企業と違うのは、三谷産業として「海外事業はベトナムだけだ」という明確なメッセージを出していて、30年前に進出したというのも先駆的でした。そのため、ベトナムに貢献している日本企業だと感じるベトナム人社員が多く、今の幹部社員にもその頃からずっと残ってくれている人たちがいます。

宮森:ジョブホッピングが多いベトナムにおいて、ロイヤリティの高い社員がいらっしゃるのですね。それでも、当時はベトナムの方々が主体的に動くという状況ではなかったのですね。

三浦:そうですね。ベトナムの方たちと日本人との間での相互信頼がまだまだできていませんでした。たとえば、経営方針や中期経営計画などを全社に公表して共有する場が、当時はありませんでした。ベトナム人の社員はそんなものがあることすらわかっておらず、「赤字になろうが黒字になろうが自分たちにはどうでもいい」と考えているようでした。

宮森:そこから三浦さんが入っていかれて、特にどのような点に苦労されましたか?

三浦:たくさんあって話し始めるときりがないのですが……。人事評価制度や社内の様々な規定の必要性をベトナムの方たちに理解してもらうのには、とても苦労しました。

 先にお話ししたとおり2013年に三谷産業本社で新会社の設立を構想し、翌年ベトナムでAXIS(Aureole Expert Integrators Inc.)という会社を立ち上げました。それからは、AXIS以外の現地法人6社の人事労務や法務、ガバナンスといった業務をすべてその会社が担うようになりました。

 それまでは現地法人の様々な規定や評価制度などを日本の本社が作っていたのですが、それはなかなか理解が得られませんでしたね。

 とはいえ、各社の事業が健全な状態を保ちながら成長していくために規定は大事ですし、一人ひとりの働きがいという点では、各自の成果がある程度可視化され、将来のキャリアが見える状態を作らなければなりません。「これをやることで、あなたたちもきっと幸せになれるよ」と粘り強く伝え続けました。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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