増えつつあるBtoBのキャッシュレス決済、カード決済
──内山さんはどのようなお立場で「弥生 請求書カード払い」というプロダクトに関わられているのでしょうか。
内山正彦氏(以下、敬称略):経営企画本部にあるFinTechイノベーション部の副部長として企画開発に関わり、今はグロースの責任を負っています。
──FinTech関連の新サービスを中心に担当する部署なのですか。
内山:はい。これまで弥生は、あまり多くのFinTech系サービスを持っておりませんでしたので、新規に作り、最終的には既存のプロダクトに組み込んでいくことを目指しています。
──百合川さんは、どのような形で弥生さんと関わってこられたのでしょうか。
百合川真人氏(以下、敬称略):私は請求書支払いプラットフォームである「Winvoice」というプロダクトの責任者をしています。Winvoiceは、お客さまのサービスに対し、請求書のカード払いを中心とする金融・決済機能を低コストかつスピーディーに組み込むことができるプロダクトです。
責任者である私自身も細部まで入り込んで事業を推進しており、弥生さまについても、初期の提案から導入支援まで私がメインで担当させていただきました。

──「Winvoice」のようなプロダクトを提案される背景には、どのようなビジネスのトレンドがあるのでしょうか。
百合川:BtoC領域でキャッシュレス化が進んでいることは、多くの方が実感しているのではないでしょうか。実際に、経済産業省の調査[1]によると2023年のキャッシュレス決済比率は約39%に達しています。
一方、BtoB領域については、まだまだキャッシュレス化は進んでいない状況です。BtoBの会計業務の中でも、弥生さまの請求書作成ソフト「Misoca」をはじめ、請求書の発行・受領、受発注関連をデジタル化する決済周辺の業務系SaaSは多く出てきています。しかし、その後段の決済や支払いの部分は取り残されている状況です。
ただ、請求書のやり取りや受発注に関しては着実にデジタル化が進んでいます。電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の開始、今後予定されている手形・小切手の廃止などもあって、支払いのDXも加速することが考えられます。こうした流れの中で、弥生さまをはじめとする各社がBtoB領域の金融決済サービスへ参入し始めているのだろうと見ております。

──弥生さんは、このような動きをどう見ていますか。
内山:BtoBのキャッシュレス決済、中でもカード決済が伸びているということは大いに感じています。1つには、カード会社さまがBtoB市場の開拓に注力するようになり、法人カードの需要喚起に力を入れているということがあると思います。

──サービス提供側がBtoBのカード決済に注目しているということですね。「弥生 請求書カード払い」を利用する企業にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか。
百合川:弥生さまの主な利用者層である中小企業に目を向けると、お金に関する業務は重要かつ非常に手間がかかるもののDXが進んでいません。依然として紙の請求書を郵送していたり、そもそも会計ソフトも導入されておらずExcelや手作業で管理をしていたりする。振込も窓口やATMで行うなど、まだまだ人手がかかっています。請求と支払いの部分にフォーカスすると、売り手は「与信管理や売掛金の回収」に課題が多く、買い手は「資金繰り」に悩みを抱えていると言えるでしょう。
このような課題に対して、デジタル化で業務の効率化が大きく進みますし、カード決済を導入すれば支払う側は支払いを最大60日遅らせることができるなど、資金繰りの最適化を実現できます。

[1]経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2024年3月29日)