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「人工知能の経済学」視点で考える第4次産業革命――雇用なき経済成長と認知アーキテクチャ

Business Book Acadey 2016.08.24 セミナーレポート

[公開日]

[編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] AI・機械学習 テクノロジー

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需要が増えても雇用が増えない「汎用人工知能」時代の深刻度

雇用の未来-コンピュータ化によって仕事は失われるのか

 2013年にオックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイとマイケル・A・オズボーンが発表した論文「雇用の未来-コンピュータ化によって仕事は失われるのか」によれば、今後は企業の受け付けなどの事務的な労働だけでなく、会計士や弁護士助手などの知的労働、ウェイター・ウェイトレス、理髪師などの肉体的労働も奪われていくとされている。進歩した技術によって一定の失業者が発生する技術的失業が起きるのは避けられない。

 しかし、留意したい点が、この統計はあくまでも機械によって代替可能か否かを技術的に示しているだけということだ。実際に機械に置き換えるかどうかは、導入コストなどを踏まえて考える必要がある。

機械の導入コストと人件費を比較した際に、導入コストが高ければ、人を雇用し続けるでしょう。つまり、10~20年の間に消えそうな仕事ランキングが、実現するかどうかは現時点では判断がつきません。この部分は、経済情勢と密に関わっていて、どれくらい労働者の実質賃金が下がるかということで変わっていくでしょう。

 今後サービス職から専門職まで、幅広い分野において、ロボットなどの技術は応用されていくだろう。製造業ではすでに生産ラインにロボットが導入され、人員を大幅に削減する企業も増えている。現代に存在する仕事に限って言うのであれば、将来的にロボットに置き換えられる職業は、OECDは全体の9%、アメリカ労働統計局は20%、野村総合研究所は49%と、数値に差こそあれ、世界的にもその労働が機械に代替されることが発表されている。既存の仕事はロボットや人工知能に代替される可能性が高く、人間は新しく生まれる仕事に従事していく可能性が高くなる。

 さらに井上氏は、機械に置き換えられる“可能性の低い”、人間にしかできない仕事を表す略語「CMH」を解説した。

「CMH」

  • C:「Creativity」 小説や映画の作成、研究開発、商品企画
  • M:「Management」 企業経営、店舗・工場の管理
  • H:「Hospitality」 介護、看護、ホテルマン、マッサージ師

 しかし、こうした職業に対しても人工知能は容赦なく影響を与えるという。例えば、ホスピタリティを必要とする仕事に、バーテンダーが挙げられる。

 バーテンダーはお酒を提供する以外にも、その場にいるひとたちを盛り上げる必要がある。これは人間にしかできないと思われがちだが、汎用人工知能が誕生した場合、人工知能やロボットがホスピタリティを身につける可能性は大いにあり得る。となると、CMHの仕事ついてもロボットとの競争が起きる可能性が十分にあり得る。

全脳アーキテクチャ方式の汎用人工知能は、人為的に作って模倣しただけなので完全に人間の脳と異なり、生命の壁は乗り超えられません。まったく人間と同じようなホスピタリティを発揮出来るとは言い難いでしょう。しかし、人間の真似をすることで、どんどん学習していくので、ホスピタリティのレベルを追い越す可能性も十分にあり得ます。機械との競争に負けるバーテンダーも出て来れば、勝ち続けて残るバーテンダーもいる、こうした二極化は今後ますます進んでいくでしょう。

 技術的失業をさらに紐解くと、特化型人工知能による失業と汎用人工知能による失業と分けることができる。前者が原因の失業は、労働者が仕事を変えること(経済学では「労働移動」と呼ばれる)によって解決されると考えられていた。しかし、後者の汎用人工知能による失業は、それが通用しない可能性がある。

人間の知性と同じような働きをする人工知能が誕生して、それがロボットに搭載され、人間と同じように身体的な振る舞いをする汎用ロボットが登場した場合、ほぼ全ての職業を不必要にしてしまうかもしれません。

 失業の解決策であった労働移動の移動先がなくなる未来が訪れるかもしれない。マクロ経済政策によって景気を良くして需要を増大させ、雇用を増やそうとしても、需要は増えるかもしれないが人工知能やロボットが雇用を奪い、生身の人間の雇用が増えない可能性がある。

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