「指導者・支援者・研究者」が支える起業界のピラミッド──日本のサッカー界に学べること

 起業家を支援する際にどのような戦略を立てればいいのか。Lean Startup Japan LLC代表社員の和波俊久氏とプロトスターCOOの山口豪志氏によるトークイベントが2017年12月5日に行われた。イベントの内容を詳報する。

[公開日]

[講演者] 和波 俊久 山口 豪志 [取材・構成] 五月女 菜穂 [写] 南方 英作 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ リーン・スタートアップ 事業開発 仮説検証

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「なぜスタートアップの失敗は繰り返されるのか」を考え続けて思う、“起業科学の研究者”の必要性

 『ビジネスモデル症候群〜なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?』(技術評論社)を上梓した和波氏。イベントの冒頭、自身の本について、「私の本は夢を砕く本。一番突き刺さる人は失敗の経験をしたことがある人、本当にそれで振り返ってなぜ自分が失敗したのかがよくわかる。これから起業する人が読んでも、全く現実味が感じられない」と紹介した。

『ビジネスモデル症候群』ビジネスモデル症候群 ~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?

 また、和波氏より今回のイベントの開催主旨が、以下のように語られた。

2010年代に入り、リーンスタートアップによって事業計画書(という思い込み)の呪縛から解放されると期待したが、結果的には「ビジネスモデル症候群」という新たな思い込みが出現し、その呪縛から逃れられることできませんでした。そこで、リーンスタートアップのメソッド論から一度離れてみようと思い、また、山口豪志氏と久しぶりに会話し、同じ感覚を持っていたことが判明しました。このことが今回のイベント開催のきっかけになっています。特に、起業の指導者・支援者が継続的に集える場所にできないかと。

 そんな和波氏の研究の背景を少し説明しよう。現在Lean Startup Japan LLC代表社員だが、プロセスコンサルタントの活動が長い。プロジェクトマネージメントのコンサルやISOの認証などをしていたといい、「一番メインでやっていたのはプロジェクトの火消しのコンサル。つまりはプロジェクトが失敗をしないようにやり方を整えるということが専門職」と話す。

 和波氏自身、3回の起業をしている。「ビジネスの成功と失敗を繰り返しながら、どうしても自分の思い通りにうまく進められないのがビジネスの立ち上げというところだった」といい、どのような起業・新規事業のプロセスならば成功できるのか、再現性を持った成功プロセスを模索しているところだという。

アイディアがあったらそれを仮説として、MVPを作って、フィードバックをもらって、それでアイデアやビジネスモデルを修正していく。このやり方が非常に優れているなぁと“当時”は思っていました。

 しかし、2010年頃になり、システム開発・アプリケーション開発の世界ではアジャイルが浸透し始めていた。アジャイルのコンセプト自体は90年代からあるが、ようやく現場でアジャイルの取り組みが始まっていた頃だった。

現場で体験しているなかで、ちょっと待て、と。今までシステム開発の工程はアイディアで、とにかくブラッシュアップしていけば成功に近づけるという風に言われていたが、事業も繰り返す反復工程の中で作っていくことができるんじゃないかと思い始めました。

 そして、和波氏はその後Lean Startupというものに出会った。スティーブン・G・ブランク氏の『アントレプレナーの教科書』などを読んで、「まさに私が思い描いていた、事業開発こそ反復的に行うべきなんだという考え方は2000年代後半、アメリカではとっくに取り組みが始まっていて、成功事例も出始めていると気づき始めた」と話す。

 そこから、“起業科学の研究者”として、起業に一番適したプロセスを探りながら実証実験・臨床を繰り返している。

タイトル和波俊久氏(Lean Startup Japan LLC 代表社員 プロセスコンサルタント、琉球大学「ベンチャー起業講座」講師)
「ベンチャー・スタートアップ・起業・新規事業開発」のメカニズムを解明するプロセス・コンサルティング会社 ”Lean Startup Japan”を2010年よりスタート。以来、自身2度の起業経験を通じた「再現性のある起業プロセス」を科学的に追求している。
クライアントは学校法人、行政・自治体、エンタープライズから個人事業主まで幅広く、起業や新規事業開発の「つまずき」を徹底的にその原因を掘り下げて行くことによって、常識化している起業術や新規事業開発プロセスが潜在的に抱えている問題点を解き明かしてきた。
創業前の事業計画を修正するという「非常識」を「リーン・スタートアップ」の普及によって一般化し、成功にはユニークなアイディアが必須であるという「パラダイム」を「ビジネスモデル症候群」で覆すなど、数々の斬新な視点を通じて、真実を追求している。
「起業が当たり前の社会の創造」を経営ビジョンとして掲げ、コンサルティング、講演・セミナー、出版、プログラム設計・運営など、幅広く活動中。
待望の著書『ビジネスモデル症候群~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?』(技術評論社)が2017年9月15日に発売。
・ビジネスモデル設計を行わない起業家育成プログラム「Lean Action Program」が高い支持を受けている。
・【Lean Startup Japan LLC コーポレートサイト】 

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