スポーツの育成の現場から見る、起業の世界の課題とは?
そこで和波氏が他の業種から学ぶために注目したのが、スポーツ業界だ。
スポーツの世界は、卓球もバトミントンも強い。水泳もアイススケートもジャンプも表彰台を日本人が独占するのは当たり前という状態。僕が子供のころ、日本代表がW杯に出るというのは奇跡中の奇跡だった。ものの20年ぐらいでトッププレイヤーになったというのが実感としてある。
和波氏が出会ったのが、日本サッカー協会会長・田嶋幸三氏の『「言語技術」が日本のサッカーを変える』という本だ。その本のメッセージは、非常にシンプルなもので、「サッカー選手を強くしたかったら、サッカーを教えるだけではダメ」というものだった。田嶋氏は海外での経験から「サッカーだけではなく、人を育て、育っていった人にサッカーを教えるのが一番効率的」という考えを学び、特にユースの世界に対して積極的にサッカー以外を教えていくことを1990年代後半に始めた。その結果、2000年代に日本サッカーが花開いたのだ。