最後に──ジョブ理論で「人生」を考えてみよう

第13回

本連載を通じて、ジョブ理論がどのようなもので、どのように役立つ理論なのかをお伝えしてきた。この最終回では、ビジネスを離れても日常的にジョブ理論に触れ、活用できるのかをお伝えしよう。

[公開日]

[著] 津田 真吾

[タグ] クリステンセン ジョブ理論

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人生のジョブ

『イノベーション・オブ・ライフ』を手に取ったことはあるだろうか?他のクリステンセン氏の本は経営書のコーナーに置かれることが多いが、この本はキャリアや自己啓発本のコーナーに置かれていることがある。それぐらい、一般の人にも馴染みやすく、クリステンセンの理論を「生き方」に引き寄せた内容となっている。教壇を取るハーバードビジネススクールで毎年とても優秀な学生を送り出し、順風満帆のキャリアを歩むきっかけを与えているにもかかわらず、学生たちが「幸福」を掴んではいない事実を掘り下げた本だ。学生向けに書かれているが、どの年代にも役立つ視点が満載なので、ぜひ一読をお勧めする。

『イノベーション・オブ・ライフ』には、自分がどのようなジョブのために雇われているのかを理解することが重要だと書かれている。文字通り会社になぜ雇用されているのだろうか?家族には?ジョブ理論が最大の洞察を与えてくれるのは、プライベートな領域だとクリステンセンは書く。耳の痛い話だが、夫婦の問題はこのジョブのすれ違いだというのだ。

ミルクシェイクの購入者と同様、あなたと妻は、それぞれが個人的に片づけようとしている基本的な用事を、いつもうまく説明できるとは限らない。ましてや、妻があなたを雇う用事を説明するとなると、なおさら難しい。この用事を理解するには、直感と共感という、重要なインプットが欠かせない。妻の立場に立つだけでなく、妻の気持ちになり、また妻の人生全体という観点から考える必要がある。” (『イノベーション・オブ・ライフ』) p125

胸に刺さる。夫婦間に限らず、いとも簡単に「相手のため」を思った行動をとってしまったのだろうと懺悔したい気持ちになる。思い当たる節は幾度となくあり、果たしてそのようなことを自分はできるだろうかと思うものだが、ジョブ理論は自分とは別の人格を持ったパートナーを理解し、まさに進歩するための示唆となっていないだろうか?

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