時は金なり──利益が減っている企業が会議に多くの時間を費やしている
SDS(サービスデザインスプリント)プログラムの全体像、有用性について説明することは難しいことではない。しかし、クライアントとの1時間のミーティングでプログラムの魅力を十分にご理解頂いたあと、頻繁にエグゼクティブの方々から伺うのは「素晴らしいプログラムですね。でも…本来の業務で忙しく、時間がないのです。」という悩みである。
我々Hivelab Japanでは、クライアントのニーズに応じプログラムをカスタマイズして提供している。一般的なSDSプログラムは、1日8時間を4日間行う、計32時間のプログラムである。連続で4日間である必要はなく、2週間にわたって行われることもある。また、ある程度の間隔を置いて実施する場合もあれば、連続する場合もあり、クライアントによってその傾向は様々である。
しかし、問題はこのプログラム自体の長さではない。
日本企業で働いていると、社内の会議というものが一日の中でも主要な業務の一部となっているだろう。そして、自分が出席しなければならないたくさんの会議と、やらなければいけないことでいっぱいになったカレンダーを見ると、計32時間のスプリントに参加することはとても難しいように思えるかもしれない。私たちは一体、週に何時間を社内の会議に費やしているのだろうか?
2016年にジェイアール東海エージェンシーが行った調査(「ビジネスパーソン・ウォッチング調査 vol.14」)によれば、日本の会社員は平均68.2分の社内会議に、1日1.4回参加している。ざっくりと計算すると一週間で8時間も費やしていることになる。
もちろん会議を否定している訳ではない。社員やチームが抱える課題を明らかにし、そして新しい方向に向かうために足並みを揃えていく。しかし、会議の効果がどれだけあるのか見直す必要もあるだろう。先ほどのジェイアール東海エージェンシーによる調査の他の項目では、利益が上がっている企業よりも、利益が減っている企業の方がたくさんのミーティングを行っているという。
「時は金なり」とは言ったものだが、どうすれば時間管理をうまくできるのだろうか?
Hivelab Japanでは、企業にとって4日間というデザインスプリントに使う時間は決して捻出が不可能な時間ではないと考えている。プログラムを通じて、たくさんの価値あるインサイトを獲得し、新しいサービスをテストできることを考えれば、尚更である。そしてもう一つ私が強調したいのは、32時間のSDSプログラムは、一ヶ月に32時間会議をするよりも社員をイノベーティブに育てることに役立つという点だ。