クリエイティブに本を読むための読書術パターン・ランゲージ(前)

「本をクリエイティブに読む -これからの時代で求められる創造的読書」イベントレポート(前)

 神田・神保町の岩波書店ゆかりの場所に開業した神保町ブックセンターで、2018年6月19日、「創造的読書」(クリエイティブ・リーディング)に関するトークイベントが開催された。ゲストは、『Life with Reading – 読書の秘訣』作者である慶應義塾大学 井庭崇さん、20代でパラレルキャリアを実践する正能茉優さん、サイボウズでオウンドメディアに関わる、あかしゆかさん、そしてUDS社長の中川敬文さんの4名。『Life with Reading – 読書の秘訣』カードという、読書の27のコツを言語化した「パターン・ランゲージ」を用いながら、自身の経験や方法について語りあった。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] パターン・ランゲージ プロジェクト・デザイン・パターン

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 慶應義塾大学教授の井庭崇さんの研究室では、「創造的読書(クリエイティブ・リーディング)」という読書のコツをまとめた成果『Life with Reading – 読書の秘訣』を発表した。これは井庭さんが研究してきたパターン・ランゲージという手法にもとづいてまとめられた読書術だ。

 パターン・ランゲージとは、人が培ってきた経験則や暗黙のコツを、誰もが使えるように言語化し共有することで、創造的な活動を支援する方法。もともとはクリストファー・アレグザンダーという建築家がつくった方法だが、井庭さんはこれを様々な分野に応用し実践している。

 井庭さんは、社会の変化を、人々が「コンサンプション(消費)」を重視した時代から「コミュニケーション」の時代になり、今後は「クリエーション(創造)」の時代に移行していくという。今回のテーマの「創造的読書」は、こうした創造性の時代の「本の読み方」を提唱するものだ。

井庭 崇(いば たかし):慶應義塾大学総合政策学部 教授。博士(政策・メディア)。株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長、および、The Hillside Group 理事も兼務。専門は、創造実践学、パターン・ランゲージ、システム理論。編著書・共著書に『複雑系入門』(1998年)、『社会システム理論』(2011年)、『パターン・ランゲージ』(2013年)、『プレゼンテーション・ パターン』(2013年:2013年度グッドデザイン賞受賞)、『旅のことば:認知症とともによりよく生きるた めのヒント』(丸善出版、2015年:オレンジアクト認知症フレンドリーアワード2015大賞、2015年グッドデザイン賞を受賞)、『プロジェクト・デザイン・パターン』(2016年)など。最新刊に『対話のことば:オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』(丸善出版)

 今回紹介された『Life with Reading – 読書の秘訣』は、本を読みこなし、楽しみ、かつ創造につなげるためのコツを言語化したもの。読書の27のコツがパターン・ランゲージの形式で定義されている。

 トークイベントでは、井庭さんがそれぞれのパターンを紹介し、それに対してゲストが、自分の読書についての経験談を語り合った。さらに、会場ではこの言葉とイラストが書かれたカードセットが参加者に配られ、セミナー参加者も「読書の秘訣」カードを用いて、グループごとに体験談などを語り合った。

 ソニーで働くかたわら、ハピキラというお菓子のパッケージデザインの会社をはじめ、パラレルキャリアを実践する正能さんは、全然本好きではなく「去年まで7冊しか本を読んだことがなかった」という。本嫌いだからこそ、本を読むイベントやミートアップの司会を頼まれるそうだ。「NIKUBOOKS」という本を読みながら肉を食すイベントでは、「池波正太郎さんの『男の作法』をみんなで読んで池波流すき焼きをつつく」など、「あくまで現実を楽しくするガソリン」として本を楽しんでいるという。

 一方、あかしさんは大の本好き。大学時代には京都の本屋でアルバイトをしていた。現在ではサイボウズでオウンドメディア『サイボウズ式』の企画編集をしながら、複業でもフリーランスの編集者・ライターとして活動しているという。

 中川さんは、会場である「岩波ブックセンター」を企画・発案した人。UDSでホテルやオフィススペースの企画・プロデュースをしてきた。井庭さんとの共同作業では、これまでも企画のコツをまとめた『プロジェクト・デザイン・パターン』(翔泳社)の発行に関わってきた。

 この4人が「読書のコツ」について語った。以下はそのトークの内容だ。

井庭崇さん/正能茉優さん/あかしゆかさん/中川敬文さん

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