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顧客を成功へ導く「カスタマーグロース」とは

経営者は無形固定資産をマネジメントせよ──“モノづくり立国幻想”を捨てた先にある日本企業の勝機

第5回

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 前回まで、時代の大きな変化として、ビジネスがサブスクリプション型へ転換していること、それにつれて会社という組織のあり方さえも変わりつつあることを紹介してきた。それを牽引する具体的な事例として、株式会社オウケイウェイヴに話を伺い、現場で何が起こっているのかも紹介できた。今回からは、その株式会社オウケイウェイヴの代表取締役社長 松田元氏に話を伺う。

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“持つことがダサい”時代に企業に求められる変化とは

──前回までの話の中で、いま、社会の流れとして、モノからコトへ、あるいは所有から利用へ、こういったサブスクリプション型のビジネスモデルへの転換が進んでいるということがリアルにわかってきました。シェアリングエコノミーという言葉もあります。そもそも、いまなぜ、そういった転換が進んでいるのでしょうか?

株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長 松田元氏(以下、松田):そもそもシェアリング系のビジネスが流行るということは、持つことへの需要が減っているという証しです。顧客のニーズが変化している。マーケティングの本質は、顧客の創造だとすると、その顧客の意識が変わってしまっている。“所有欲”が減少しているんです。

──かつては、「持つこと」がステイタスでした。例えば自動車などはその代表格だったかもしれません。

松田:すでに、持つことがダサい。人生を豊かにするものや必要な道具としてではなく、いわゆる“ステイタス”としてベンツだとかフェラーリを持つことに魅力を感じる人が減っている。しかも、所有することで儲からない。

──その変化の要因はどんなところにあるのでしょうか?

松田:高度経済成長、バブル期というのは、モノを持つことに意義もあったし、それで儲かった時代です。金利も高くて、お金を集めて預金しているだけでもいい思いができた。積み重ねていけば、うまくいったわけです。トンネルを進んでいけば必ず先に光が見えた時代です。

 ところが、いまはトンネルを通るうちに地下に潜ってしまうことがある。逆に空を飛ぶようないい思いもあるのですが、先の予測がつかない。不動産なども、バブル崩壊で持っていてもリスクがあることがはっきりした。頑張って家を買っても、災害で失ってしまうという経験を、一度ならず、二度、三度と経験してしまったんです。これでは、モノを持つことへのロイヤリティが下がるのは当たり前だと思います。

 こんな風に顧客の気持ちが変わり、ニーズも変わっている。つまり社会が変わっているのに、まだ経済の仕組み、法律やビジネスの形が追いついていないのが、いまだと思います。でも、確実に、モノを売るビジネスモデルは終わりつつある。コトのデザイン、経験を売ることが求められていると思います。

──これまでのビジネスは「何かを売る」ことで利益を得るモデルですが、それが変わるとなると、会社は変わらざるを得なくなるわけですね。

松田:モノ売りの会社は、今後存続し得ないと私は思います。会社を変える、これまでの記事で紹介してもらったように、KPIを変えるなど、抜本的に変わらないといけない。

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