ビジネスは、「売る」から、「つながる」に変化している
その会社の経営状態について情報を得ようとする場合、まずどの数字を見るだろうか。資本金・売上高・純利益・営業利益・自己資本比率・流動比率……。経営を判断する指標はたくさん存在するが、その中でも大きなポジションを占めているのが「売上」だ。
だが、サブスクリプション時代には、その売上だけでは企業価値が測れなくなる。決算書では売上はわかる。だが、その売上を構成する顧客についてはわからない。新規顧客なのか、既存顧客なのか。既存顧客の場合、アップセルか、クロスセルか。そして、「何年、お付き合いがある会社なのか」。
例えば、あなたが株を購入したいとき、様々な指標で企業を知ろうとするはずだ。当然、売上高も見る。だがその売上のほとんどが新規顧客で構成されている、創業20年の会社をどう思うだろう。同じ売上高でも、3分の2が継続的に売上を上げている既存顧客で構成されている会社と、どちらを評価するだろうか。
多くの人は、後者の企業を高く評価するだろう。その突き詰めた形がサブスクリプションビジネスになる。もちろん、売上は大切だが、それ以上に「いかにお客さまとつながっているか」が注目すべき指標となる。売上だけではなく、顧客数も見る。顧客数に加えて、契約年数も求められる。例えるなら、企業の従業員数だけではなく、「平均勤続年数」も見るという意識に近い。ビジネスが「売る」から、「つながる」に変化するいま、従来の指標では価値を測るのに十分ではないのだ。
当然、ビジネスの現場では新たなKPIが求められる。売上月間目標だけを追いかければいい時代は終わったのだ。