毎月課金のサブスクリプション型ビジネスでは、「使っていない」サービスは解約される
前回解説したサブスクリプション型ビジネスにおける新たなKPI、「GRIP率」は、顧客との関係性を可視化したものだった。顧客との関係が深ければ深いほど、関係性は長く続き、それだけ利益が上がることになる。今回解説する二つのKPI、「活用レベル」と「利用率」は、GRIP率とは性格が異なる。あくまでも「顧客の社内での状況」を把握するものだ。
サブスクリプション型ビジネスと対比される従来型の「物売りビジネス」では、製品やサービスを販売する、あるいは契約を結ぶことがゴールとなっていた。売上が上がれば、それは利益を生む。だからこそ、「売った後のことは関係ない」という考え方もできる。家電量販店で販売担当者が一所懸命にお客さまにホットプレートを売り込む。結果として購入いただけたとして、その販売員は「実際にそのホットプレートがどう使われるか」を意識するだろうか。おそらく、意識しないだろう。なぜなら、その販売員にとっては、売れたことが大切であり、その後のことは関係ないからだ。これが物売り型ビジネスの考え方だ。しかし、サブスクリプション型ビジネスでは変わってくる。
サブスクリプション型ビジネスでは、「顧客数✕使用料✕利用数✕利用期間」が利益を生み出す方程式となる。最後の利用期間が短ければ、利益は生まれない。利用数が少なくても利益にならない。つまり、いくら売って(契約をとって)も、その製品、サービスが使われていかないと、利益にならないのだ。そして、当たり前のことながら、「使われないサービスは解約」される。物売りビジネスの商品なら、使われない製品でもホコリを被っているだけで済むが、サブスクリプション型ビジネスのサービスでは、それは「解約」につながる。この解約を防ぐことがサブスクリプション型ビジネスの成功に欠かせないKPIなのだ。