なぜブロックチェーンの「ビジネス活用」は進まないのか──導入が適さない2つの領域と選択肢

第4回

 前回はブロックチェーンの象徴であるビットコインを例に、その取引の流れからブロックチェーンの仕組みをご紹介しました。
 今回は、ブロックチェーンのどのような特徴がビジネスに変革を起こしていくのか、ブロックチェーンの課題とあわせてご紹介します。

[公開日]

[著] 坪井 大輔

[タグ] IoT テクノロジー ブロックチェーン

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分散型ネットワークシステムがもたらす新しい“信用”

 前回まで、ブロックチェーンの技術的な基礎知識を整理してきました。テクノロジーはあくまで“手段”なので、目的によって活用の効果は変わります。

 IT活用は経営上の課題であり、多くの企業が検討し、投資をしています。もちろん、それには大成功もあれば、効果が出ないケースもあります。テクノロジーの活用を検討する場合、開発費用、開発期間、品質などへ目が向きがちです。もちろんそれらは重要な要素ではあります。しかし、そのテクノロジーの本質を理解し、投資目的に沿った手段なのか、先に検証すべきです。そして、それはブロックチェーンにもいえます。

 では、ブロックチェーンの本質とは何でしょうか、ブロックチェーンは私たちに何を提供してくれるのでしょうか。それは“信用”です。

 私たちが何の疑問もなく銀行にお金を預けられるのは、銀行を信用しているからです。同様に、日本が定めた法律に則った社会が成立しているのは、日本という国を信用しているからです。これらの“信用”は、中央集権の構図から生まれていました。全体をまとめる確たる存在があり、人々がそれを信用する世界です。これまで、人々はこのような社会を作ってきました。

 これまでは中央の権威が信用を作ってきましたが、いま、ITが“信用”を作ろうとしています。ブロックチェーンの技術を活用して作られたビットコインは、管理者不在のまま世界共通通貨の仕組みとして動き続けています。そしていま、人間社会における信用の新しい源泉になろうとしているのです。

 テクノロジーは常に人間の手により作られ、人間が活用するサービスの一つとして提案され続けてきました。次の新たな提案が、「ブロックチェーンによる分散型ネットワークシステム」です。

 このシステムが十分信用できるようになれば、さまざまな手間が不要になります。その信用をブロックチェーンで実現するのです。銀行で取引の承認を得る、ハンコを押す、銀行に取引を確認してもらうために手数料を払う、といった不便がなくなる社会です。国家レベルもそうです。日本国を出て別の国に入るときには、窓口に並んで信用をチェックされます。ブロックチェーンとは、突き詰めればそういった手間を不要にすることができるテクノロジーなのです。

 人間が管理しないネットワークシステムが、人間の“信用”を獲得する。ここにブロックチェーンの革新性があります。

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