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テクノロジーがもたらす“新世界”

ブロックチェーンが拓く未来──非中央集権型組織とトークンが創る新しいエコノミーとは?

第5回

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 前回はブロックチェーンのビジネス活用例と、ビジネスに向かない領域を紹介しました。最終回である今回は、ブロックチェーンがもたらす未来について、さらに詳しく解説をしていきます。

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ブロックチェーンがもたらす新たな世界観「DAO」

 25年かけて普及したインターネットですが、フィジカルなリテールを破壊しきってはいません。商取引のEC化率はBtoCで6.22%、BtoBで30.2%と、まだまだリテールの方が強いのです。それを考えると、私たちの世界がブロックチェーンをはじめとする新たなテクノロジーによってまったく新たなものになるのは、先の話といえます。

 インターネットの普及は今までの人類の歴史から考えると画期的に速く、世の中の変化も総じて速くなっているかもしれません。それでも私たちが生きている間に国家がなくなるような事態はまず起こりえません。当分の間、既存技術によるシステムとブロックチェーンのような新しいテクノロジーは世の中に併存していくでしょう。ただ、ブロックチェーンのような考え方が、既存技術で対応しきれなかった課題を解決していく中で、じわじわと広がっていくと予想しています。

 ブロックチェーンの議論でよく出てくる用語に「DAO(ダオ)」があります。これは英語のDecentralized Autonomous Organizationの略語で、自律分散型組織を意味します。ブロックチェーンを理解する上では極めて大切な概念です。

 DAOは、今の時代の次にくる世界観を表しています。それは、ブロックチェーンやAI、ロボットなど「作られたシステム」が、私たち人間を自動的に使う世界です。

 「システムが人間を使う」とはどういう意味でしょうか。ここでビットコインを思い出してください。ビットコインは、ある企業が運営しているわけではありません。でもその中でとても大きなお金が回っていて、人々はビットコインをめぐってざわざわと心動かされ、ときに行動も左右されています。システムで組まれた、自律して分散された仕組みに、人間が動かされているわけです。

 ブロックチェーンの可能性を考えるには、原則的にこの視点に立つ必要があります。今後どうやって自律的・自動的に動くシステムをつくり、このシステムを組織化して、その周りに人間がいる状態を実現するか。これこそがブロックチェーンの本当の意味での可能性です。

DAO(自律分散型組織)のイメージ

 DAOの世界観を理解する上でまず押さえるべきキーワードが「スマートコントラクト」です。

 スマートコントラクトとは、ブロックチェーンのシステムの中にルールやレギュレーションを組み込んで自動的に動かす技術です。ルールの執行はスマートコントラクトによって自動的に行われます。一度仕組みが動き出せば、その後は原則として人による管理は不要となります。

 一般的な企業や組織であれば、一定のルールの下にボスが意思決定をして組織や人を動かします。しかしスマートコントラクトになると、一定のルールや条件が事前にプログラムに埋め込まれてさえいれば、条件を満たせば実行、満たさなければ実行しないという動き方になり、ボスは不要になります。「ルールの下の平等」が強制的に実現するわけです。

 そのルールはスマートコントラクトのプログラムが変更されない限りは絶対で、トラブルは起きようがありません。これが「人間がプログラムに使われる」世界観で、DAOを考える上で不可欠な概念です。

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この記事の著者

坪井 大輔(ツボイ ダイスケ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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