“5G時代の石油”は人がもたらすデータ──収集から活用までを担うテクノロジー「四種の神器」とは

第2回

 前回は、ITの進化史を振り返りながら、IoT、クラウド、AI、ブロックチェーンが何故最近話題となっているかをICT全体の流れから解説をいたしました。
 今回は、これらIoT、クラウド、AI、ブロックチェーンがどのような関係性のもと、イノベーションを起こしていくのかを解説していきます。

[公開日]

[著] 坪井 大輔

[タグ] IoT テクノロジー ブロックチェーン AI 5G

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

通信環境の進化によるコミュニケーションの変革と、ブロックチェーンによる決済の自由化の類似点

 第1回でご紹介した通り、ITの進化の背景には常に通信環境の進化があります。

 1993年、2G(第2世代)により、通信環境はアナログからデジタルへの進化を遂げ、3G(第3世代)の登場で、より高速・大容量のデータ通信が可能となりました。この2G以降、私たちは新たなコミュニケーション手段として活用できる「携帯電話」を手に入れることになりました。

 では、携帯電話が登場する以前は、どのようなコミュニケーションが中心だったのでしょうか。日本でいう「ご近所付き合い」に代表される、Face to Face(FtoF)なフィジカルなコミュニケーションが主な手段でした。

 この時代は、FtoFというフィジカルな接点により、住む場所や所属する企業といったリアルな空間でコミュニティが形成されます。それが人々の安全欲求、社会的欲求を満たす上で大変重要な要素となっていました。

 携帯電話は、FtoFが主であった社会に通信速度の進化がもたらした大きなイノベーションだったのです。

 FtoF、手紙や年賀状のような一方向の物理的なメッセージと、据置型の電話機のみであったコミュニケーション手段は、通信環境の進化によって進歩を遂げます。携帯電話がフィジカルや据置型電話機という場所の制限から人間を解き放ち、人と人との繋がる「範囲」は画期的に広がりました。そして、さらなる通信環境の進化が、SNS(ソーシャルネットワークサービス)という次のイノベーションを起こす引き金となります。

 SNSの登場により、コミュニケーションの範囲は知人同士から、世界中へと広がります。自分との価値を共有できる、もしくは自分を知ってもらい興味関心がある同士が、インターネットの世界でネットワーク(コミュニティ)を形成できるようになったのです。これは、FtoFや携帯電話による知人同士のコミュニケーションを超えた、新しいコミュニケーションの形です。SNSによって世界中と自分がリアルタイムに繋がることは、コミュニケーションの「範囲」において、従来の制限を打ち破ったイノベーションとなります。

 コミュニティも同様に、場所や地域という物理的な制約に縛られた存在から、制限・制約のないものへと進化を遂げます。この過程において、コミュニティの主役は、組織や地域から個人へと移り変わります。個人がネットを介して、いつでもどこでも誰とでも自発的に繋がることができる時代です。これはリバタリアン(自由至上主義)的思想の実現といえるでしょう。国や地域、所属する組織などに依存せず、世界の人々が自由に交流をする新たなコミュニティの実現です。

 この視点でみると、通信環境の進化に伴うコミュニティの変化は、ブロックチェーン技術が実現させた、ビットコインによる決済の自由至上主義の提案にとても類似しています。決済の歴史を簡単に振り返ると、貨幣の手渡しによる決済(FtoF)から、金融機関の口座間送金(時間・場所の制約からの解放)へと移り変わりました。そして、ブロックチェーン技術を用いたビットコインなどの仮想通貨の登場によって、金融機関という中央集権の機構を介在させず、個人がネットを介して決済することが可能になっているのです。

バックナンバー