「移住定住」から「多住流動」へ──人口減少を機会にするシェアリングエコノミーの可能性と未来の生き方

SHARE SUMMIT 2019レポート:Vol.1「地方の未来」

 シェアリングで地方はどこまで変われるのだろうか。シェアリングエコノミーが少しずつ浸透しはじめ、ビジネスや暮らしの前提、個人の消費スタイルが大きく変わり、新しい社会のあり方が問われてる。そんな中、年に一度のシェアカンファレンス「SHARE SUMMIT2019」が、2019年11月11日(月) 虎ノ門ヒルズフォーラムで開かれた。シェアリングエコノミーが持つ可能性についてあらゆるセクターの登壇者と共に考える一日。今回、「地方の未来〜2030年を見据えた地方の競争戦略〜」をレポート。人口が1億人切ると言われる2050年代からバックキャストした自治体の生き残り戦略に迫る。

[公開日]

[講演者] 藤野 英人 木下 斉 米田 惠美 久富 雅史 佐別当 隆志 [取材・構成] 保 美和子 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 社会・公共 地方創生 関係人口 多重流動 人口減少

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既存のやり方に固執しなければ、人口減少は機会になる

 パネルディスカッション冒頭、モデレーターのアドレス 代表取締役 佐別当隆志氏が、エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事の木下氏へ「人口減少」に関して意見を求めた。

佐別当隆志株式会社アドレス 代表取締役 佐別当 隆志氏

 全国各地で地元の人々と共同出資で会社を設立し、地域再生の取り組みを進める木下氏。開口一番、「人口が減ること自体は問題ではない。全く悲観していない。」と話した。

 木下氏によると、これまでのやり方で地方産業・行政を続けていけば、衰退の一途を辿るのは明白で維持が難しいのは確かであるが、解決策は多分にあると言う。その実例としてヨーロッパの地方創生の取り組みを挙げた。

 ヨーロッパでは、産業革命後に大きく人口を減らした都市や、農林水産業を含め地域に根付いた産業により、人口が大きく減少しても稼げる地域が多数存在する。それは今に始まった話ではなく、100年以上前から進められてきた。

 ヨーロッパでは地元の人が地元の中でお金を出し合って、労働者協同組合を作っている。労働者が出資した会社で様々なサービスを提供し合う地域では、一人当たりの可処分所得は都市部よりも高いと木下氏は語る。

実はシェアリングという概念は、国の人口が減少の一途を辿りはじめた時に「それでも豊かになる方法」を探して出した結果、見出されました。そして、農村や地域の中で何かしら、シェアをしていけば豊かになるという教えは、もう100年以上前から根付いており、衰退局面に直面したヨーロッパ諸国が課題を克服してきたという事実が存在します

 木下氏はようやく日本の各地方でも、自分たちの生活を豊かにするサービスと向き合う時が来たと前向きに述べる。一次産業をとっても、旧来の安く大量に生産するという概念を変えていく必要がある。

 佐賀県のとある養鶏場では、最初に福岡市内のあらゆるケーキ屋に出向き、どのような卵が必要なのか、需要を聞いたうえで養鶏場をスタートさせ成功したという事例を挙げる。

これから地域において新しく事業を創る人はまず、出口のあり方から考えて、既存やり方を再考し仕組み自体をどんどん変えていくことが重要だと思います

木下斉一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事/内閣府 地域活性化伝道師 木下 斉氏

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