今回のレポートでは、市場のディスラプターとの競争に直面する大手企業の発明市場におけるシェアが18%まで低下し、世界のイノベーション勢力図の細分化が急速に進んでいることが明らかになった。
昨年発表した2018年度のレポートでは、日本が最多受賞国だったが、今回は日本が32社、米国が39社で、米国がトップの座を奪還した。また、業種別では、ハードウェア・電子部品製造分野からの選出が38社で昨年より3社増え、次いで製造・医療機器製造分野 が16社、通信とソフトウェア分野がそれぞれ8社となった。
2020年のレポートでは、分析対象を上位100企業から拡大したことで、3つの傾向が見られたという。
発明市場における上位1,000社のシェア低下
6年前にはDerwent World Patents Index™(DWPI)の全発明の4分の1以上(27%)が上位1,000社のものだった。今回は、それが18%まで減少している。より規模の小さい企業、あるいは個々の起業家や発明家が生み出す特許がますます増えているという。大企業はより良い協力体制を築き、時代に合ったパートナーシップを模索しなければ後れを取るリスクがあるとしている。
協力の必要性
技術が集約されるにつれ、基礎科学と工学分野の関連性が強まり、複合的な専門知識が求められるようになった。それは、DWPIの特許登録1件当たりの平均発明者数が2.84人(2014年)から2.99人(2019年)に増加していることにも表れている。
競争の激化
「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター」入賞に必要な基準スコアが、この6年で2割以上増加している(22%)。今年の「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター」を初めて受賞したフジクラ、HTC、イマージョン、マイクロチップ、シュナイダーエレクトリック、テンセントの6社は、イノベーション市場の厳しい競争を勝ち抜き、2015年以降ランキングを平均で250位上げている。
クラリベイト・アナリティクスのIPグループ担当アナリティクス部門代表であるエド・ホワイト(Ed White)氏は「電話から電気自動車、医療機器に至るまで、現代の発明はすべてより深くより広い専門知識を必要とし、かつては無関係だった分野が協力し合う必要があります。これまでイノベーションのプロセスを支配してきた大手企業が、より複雑でより細分化されたエコシステムの中で繁栄し続けるためには、新しい協力の方法を探り、それを受け入れなければなりません」と語った。
Derwent Top 100 グローバル・イノベーター™ 2020受賞の日本企業(英文社名のアルファベット順)
- アイシン精機株式会社
- AGC株式会社
- カシオ計算機株式会社
- ダイキン工業株式会社
- 富士フイルム株式会社
- 株式会社フジクラ
- 富士通株式会社
- 古河電気工業株式会社
- 株式会社日立製作所
- 本田技研工業株式会社
- 日本航空電子工業株式会社
- JFEスチール株式会社
- 川崎重工業株式会社
- 株式会社神戸製鋼所
- 株式会社小松製作所
- 三菱電機株式会社
- 三菱重工業株式会社
- 日本電気株式会社
- 日亜化学工業株式会社
- 日本製鉄株式会社
- 日本電信電話株式会社
- 日産自動車株式会社
- オリンパス株式会社
- オムロン株式会社
- パナソニック株式会社
- ルネサス エレクトロニクス株式会社
- 信越化学工業株式会社
- ソニー株式会社
- TDK株式会社
- 株式会社東芝
- トヨタ自動車株式会社
- 株式会社安川電機