このレポートでは、顧客の業務内容に合わせたワークスペース(アクティビティ・ベースド・ワーキングのためのオフィス)へ移行したプロジェクトの移行前後のデータを比較し、測定可能な成果とその結果を左右する要因、従業員が認識できるワークプレイスの効率性を分析した。11か国、16の組織における29のプロジェクトから32,369件のデータを分析し、アクティビティ・ベースド・ワーキングにおける世界最大の調査結果として、測定可能なABWの影響と、移行の成功事例の共通点を洗い出している。
アクティビティ・ベースド・ワーキングに移行した組織では、平均して以下のような項目に対して改善が見られた。
- ワークプレイスにおける総合的な満足度が17%向上
- 個人の生産性が13% およびチームの生産性が8%向上
- 組織文化が11%改善
- 職場に対する帰属意識が4%向上
アクティビティ・ベースド・ワーキングへの移行が成功するかどうかは、従業員の働き方とワークプレイスの構成が合致するか、従業員が選択の自由を実感できているか、組織文化が柔軟で移動性のあるワークスタイルを可能にしているかに大きく影響されることが明らかになった。より良い結果を出した企業は、初期段階で従業員を移行のプロセスに巻き込み、テクノロジーを利用して従業員の仕事をサポートし、従業員を信頼し、彼らに権限移譲する企業文化を創りあげていることがわかった。
また良い結果が得られないプロジェクトの特徴として、ユーザーのニーズに合致せずパフォーマンスを最大化されない、あるいは、従業員の考え方や行動変容をうまくサポートできていない、従業員が生産性の低下や上司との信頼関係が失われることを懸念し働きかたを変えられない、などがあることがわかった。