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日本企業発・イノベーションへの挑戦者

東レ発新規事業 MOONRAKERS西田氏に聞く、出向起業による事業成長の道筋

ゲスト:MOONRAKERS TECHNOLOGIES 西田誠氏

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 2025年5月、日本最大級のスタートアップ展示会「Startup JAPAN 2025」内で、大企業の社内起業家たちに光を当てた「第二回 日本新規事業大賞」の最終審査が開催される。この開催に先立ち、昨年の第一回で大賞を受賞した東レグループのスピンオフベンチャー、MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社の代表取締役 西田誠氏にインタビューを実施。新規事業開発の経緯と日本新規事業大賞を受賞したことによる変化、新規事業を成功させるためのポイントを聞いた。

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東レ入社後約30年で3回の新規事業立ち上げ

──西田さんは、社内で連続的に新規事業を創出されてきました。これまでのキャリアを簡単に教えていただけますか。

西田(西田誠氏、以下西田):1993年に入社以来、約30年間東レに在籍していました。

 入社間もないころに手がけたのが、当時の先端素材だったフリース素材を用いた事業です。ちょうど阪神淡路大震災を機に災害備蓄用毛布の需要が急増して、自分たちの開発したフリースの毛布も一気に市場に投入されることになりました。「新規事業ってこんなに垂直に立ち上がるんだ」と面白さを感じましたね。

 そして「ユニクロがフリースに注目し始めたらしい」という噂を聞きつけた際は、直接営業に赴いてその場で契約を獲得。その規模は通常とは桁違いのもので、「間違っていませんか?」と聞き直したほどでした。そしてこの大型契約と共に、私も2年間ユニクロへ出向することになります。

 出向期間中に学んだのは、「素材提供だけでは、モノづくり全体をコントロールできない」ということ。東レは素材メーカーですが、「本当にいいモノを作るのであれば、サプライチェーンを縫製まで延伸して最終製品を提供すべきだ」と考えるようになり、東レに戻った後、2回目の新規事業として縫製品事業を立ち上げました。

 大企業との直接取引とサプライチェーンの延伸という、私の考えた2つのコンセプトが先駆けとなり、東レはその方向に大きく舵を切りました。結果的に1990年代以降続く東レの繊維事業の大きな成長に貢献することができました。

──3回目の新規事業となる、MOONRAKERSの事業内容についても教えてください。

西田:日本が誇る先端技術を搭載したファッションプロダクトの開発・販売を行っています。特に、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と東レの共同開発技術を搭載した「MOON-TECH」シリーズは、評判が広まって大きなヒット商品となっています。

 「東レでも同じ商品が買えますか」とよく聞かれますが、実は買えません。それは勿論MOONRAKERSと共に開発した経緯やコンセプトを東レがリスペクトしてくれている部分もありますが、同時に東レが提供しているのはあくまで素材であり、後工程を担う工場の組み合わせが異なれば、同じ商品はできないからです。私は、繊維技術を持った世界中の工場を知り尽くしている数少ない人間だと自負しています。各工程をどの工場に依頼すれば最適なものが生み出されるかわかる。この“組み合わせ”を熟知しているからこそ、「今までにない」プロダクトを生み出せるのです。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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