IRISを活用した海外のサプライチェーン改革事例
インターシステムズは、現在100ヵ国以上でビジネスを展開している。佐藤氏は世界で同社のデータプラットフォームを使って実際にサプライチェーン変革を行った事例を紹介した。
最初に紹介されたのは、世界第2位の市場占有率、船舶数を誇るスイスの輸送会社メディテラニアン・シッピング・カンパニー(Mediterranean Shipping Company S.A、以降MSC)である。
MSCはコンテナ船を520艘ほど所有し、日々10億個以上のコンテナを世界中で輸送しているが、日に30万件のリアルタイムトランザクション処理と検証が必要だったり、現在地証明・送り状・船荷証明・通関処理等複雑なワークフローがあったり、天候やストライキによる突発的な影響でルートを変えないといけないことがあるなかで、顧客企業からリアルタイムでの輸送状況を要求されて返答に時間がかかるなどと、課題が多かった。加えて、過去30年で企業内に様々なソフトウェアを導入しており、分散したシステムによって分散したコントロールが行われていた。
そこでMSCはインターシステムズのデータプラットフォームを導入した。約6ヵ月かけてプラットフォーム上でTracking and Tracingシステムを構築した結果、世界中の代理店ネットワークのアプリケーションを統合でき、全ての貨物やワークフローを見える化できるようになった。それによって業務上の効率が劇的によくなっただけではなく、情報の可視化ができているために、顧客向けにスマートフォン上で使えるアプリ「MyMSC Customer Portal」を提供できたという。このアプリでは貨物の状況をいつでも確認でき、輸送指示やコンテナ総重量の申告等、荷主が必要な処理がそのアプリ上でできるため、顧客にとってもメリットのある改革になった。
また佐藤氏は、大手商社Cie.Française de l’Afrique Occidentale S.A.(セーファーオー、以下CFAO)の事例も紹介した。CFAOはフランスに拠点を置き、約120社の関連企業を持つ多国籍かつ大規模なリテールグループである。アフリカを中心に、自動車、自動車関連機器およびサービス、医薬品、消費財の流通販売のほか、エネルギー、通信などの事業も手掛けている。
CFAOでは、多数のサプライヤーが関わるワークフロー、データフローが混在し、関連システムが数多く存在するために、シームレスな連携と応答品質の向上に課題を抱えていた。また、新たなパートナーを得たときのシステム統合も複雑で時間がかかるという課題もあった。
そこでインターシステムズのデータプラットフォームを活用し、社内、取引先、関連企業の CRM、POS、ERPなどのアプリケーションを統合することにした。その結果、全てのプロセスが可視化されて迅速な顧客対応が可能になり、今まで回答までに平均2時間かかっていたところが、平均5分で終えられるようになった。また新規パートナー企業とのシステム統合に要する時間も60分の1にすることができたのだという。