この実証実験では、サービスエリアを西伊豆エリアや静岡・静岡空港エリアまで拡大すると同時に、観光商品を、Phase2の約6倍にあたる125種に拡充させ、オリジナル観光体験を地元事業者と連携して作り出すなど、質と量の両面で、来訪目的の創出を推進した。また、事前購入機能の導入および会員登録時の認証や決済方法の選択肢を増やすなど、利用者の利便性向上を図った。
1.エリア拡大の結果
販売枚数全体における中伊豆、西伊豆エリアの商品販売割合はPhase2の3倍(12%)に伸長し、利用エリア拡大の効果がみられた。
2.観光商品拡充の結果
Phase2と比較した全チケットに対する観光チケットの販売割合は高くなり、より多くの利用者のニーズに合った観光商品を充実させることができたとしている。しかし、観光チケットの合計販売数は想定を下回り、コロナ禍の外出自粛の影響を受けたことが原因と推測している。また、新たに開発した予約型のオリジナル観光体験商品は、利用者から好評だったが、コロナ禍の状況が見通せない中で、利用3日前までの予約が必要という制約が心理的ハードルになったと考察している。
3.機能面拡充の結果
交通チケット購入者の約半数が事前に購入し、約4割の利用者が新しく導入した認証もしくは決済方法を利用するなど、利便性の向上に寄与したとしている。
そのほか、新たにワーケーション施設との連携を行った結果、全利用者の2%をワーケーション滞在者が占め、コロナ禍において生まれた新しい需要を確認できたという。その一方で、ワーケーション滞在者のニーズに即した商品開発など、伊豆の関係人口増加に向けた新たな課題も明らかになった。
この実証実験は、12月末からのGoToキャンペーン停止、首都圏における緊急事態宣言の発出、それに伴う観光・宿泊施設の休業などの時期が重なった影響を受けたが、実証実験に参加した各事業者がデータを随時活用できる機能を整備し、効果測定をタイムリーに行い、各タイミングで最適なプロモーションを実施できたことで、2月上旬の静岡県内での新型コロナウイルス警戒レベルの引き下げや河津桜の開花以降、徐々に利用が伸長し、緊急事態宣言解除後には、多くの利用者が利用したという。
各社は、今後は本実証実験の結果を踏まえ、社会実装を含め、持続可能な運営体制や収益確保に向けて検討してくとしている。